▼2012/06/11



青い空!白い雲!眩しい太陽!

どこ行った!!

「あの…、」
「んあっ?!」

背後から声がした。

「そこに居られると…開店出来ないんですよね…」
「あ…すまん。」

カフェ…むしの…さざめき?ここ…店だったのか。やんわりとした笑顔を浮かべたガーメイルが、半開きの扉の隙間からこちらを見ている。

「…濡れますよ?」
「おっお前がどけって言ったんだろ!」
「…傘なら…貸しますよ。」
「暫く返せないからいい。」
「風邪…ひきますよ。」
「お前がどけって言ったからだろ!」
「あ…じゃあ…入ってください。」
「お邪魔する!」

木で出来た扉が開かれると、なーんだか古臭いベルの音がガロンガロンと鳴った。



『一日休みをやろう。』

ことの発端はジルのこの一言。もう何年も門から離れていなかった俺を不憫に感じたのか、邪魔になったのか、理由は知らんがとにかく俺は一日休みを貰った。
だが休みを貰っても正直なにをすればいいのかわからなかった。長く暇な門番生活は、俺から休みの仕方を忘れさせていた。どこかへ行こう。門が視界から消えるところがいい。
俺が外出するなら、天気は晴れに決まってる。なんて根拠のない自信があったが、俺が門から離れれば離れるほど天気が崩れていった。どういうことなんだ。
森から抜けた所で土砂降りとなり、慌てて屋根のある建物へ駆け込んだ。焦げ茶色の木に蔦や葉っぱの絵が彫り込まれた壁。甘ったるい匂い。俺の頭上辺りの高さから三つほど横に並んでいる丸い窓から中を覗くが、真っ暗でよくみえない。
せっかくの休みなのに…止みそうにないな…雨。
仕方なくそこに座り込んでいたら壁だと思っていた俺の背後の場所がかちゃっと開き、そこが扉だということにやっと気が付いた。


店内はまだ暗かった。ガーメイルが、今タオル持ってきますねと扉から見て右側にある階段をギシギシ音をたてながら登っていった。
首の毛がべったり身体について気持ち悪い。足元が水溜りになってきて、流石に申し訳なくなってきた。でもどうしようもないし、いっか。
ギシギシ音が聞こえてくる。…でもさっきより音が多いような気がする。

「あらら、大変です。風邪ひく前にお風呂にでも入りますか?」

降りてきたのはガーメイルとウルガモス。…ウルガモス?

「なんでウルガモスがこんなとこに…」
「おや、こんなとこにいてはいけませんか?」
「いや…別にだめではないけど…」
「ふふ、まぁとりあえず、これ以上床をビショビショにされるのも…。」
「わかったわかった…。」

ウルガモスと会話している最中も、ガーメイルは黙ったまま笑顔だった。こいつ絶対なんかおかしい。

階段の下が隠し扉になっていて、細い廊下を進んだ先の引き戸の向こう。そこには真四角の白い部屋があって、水溜りを岩で囲んだような…風呂があった。大きさはツァルメテが一匹でやっと入れるくらいだが、これくらいの方が俺は落ち着く。部屋の角にはなんかサンドパンみたいなトゲトゲしているものがあった。なんだこれ。
がらっと引き戸を開く音が聞こえた。

「お邪魔するよ」

さっきのウルガモスだ。

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リンは原型姿です。




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