私は山土だと思いながら書いたけど土山なのかもしれない。 目を覚ますとそこには見慣れた頓所の自室の天井があった。 俺は何をしていてこうなったんだっけ? 確か…何か任務の途中だったような。 それならこんな所で寝ている場合じゃない! 起き上がろうと力を込めた時、体中に激痛が走る。 首から下の全ての部分に力を込めるのが不可能であると気付き、諦めて脱力する。 「やっと気が付いたか。調子はどうだ?」 …最悪です、と返しかろうじて動く首と目線を声の方向へと向ける。やっぱり副長だった。 どうやら最初から副長はこの部屋にいたらしい。 「そりゃこんだけこっぴどくやられりゃな。」 「副長、俺が何をしでかしちまったのか教えてくれませんか?」 副長は少し黙り込んで、大きくため息をつくとゆっくりと話始めた。 話をまとめると俺は攘夷浪士の密会が行われている遊郭の屋根裏に潜み状況を表にいる一番隊と副長に連絡している最中、誤って転落し頭を強く打ち付けた。 動くことができずそのまま始末されそうになっているところで一番隊が突入しぎりぎり助けられたということだ。 そこまでの話を聞いてうっすらと記憶が戻ってくる。 「俺って本当に使えない密偵ですよね、楢崎幸と鈍兵衛の時だって失敗してるし。」 自分があまりにも情けなくて副長に合わせる顔がない、頭を元に戻し唇を強く噛み締める。 「山崎、お前のおかげであの攘夷浪士どもは確保できたんだ。それに今回が駄目だったんなら次手柄を上げればいいだけの話だろ。」 「副長…。」 「今回だって前の件を気にしすぎて無茶したんだろ。てめーが死んだらそれこそ真選組は大打撃だ、次からは無茶し過ぎるなよ。」 副長の声は少し怒っているようで、でも少し優しくて、すごく落ち着いた。 「すいませんでした、次からは気をつけます。だから副長そろそろ寝て下さい。目の下のクマひどいですよ。」 ちらりと顔を見た時、副長の目の下は真っ黒で全体的に顔色も悪かった。 「うるせぇ、ボクサーに顔面パンチ決められただけだ。」 こんな素直じゃない副長が大好き、大好きだからこそ離れるのが少し怖くなってしまう。 監察としてはいけないことなのだろうか。 「じゃあ俺が寝るまで側にいて下さい。」 「…あぁ。」 愛しい人の横でこうして眠る事の幸せを味わいながらゆっくりと眠りへ落ちていった。 ――――――――――― 山崎って優秀な隠密なんですよね。 きっとこの時はたまたまタイミング悪くミスが続いたんだ。 土方と山崎のコンビは大好きです。 20111101 あずま ←→ |