近沖というより近+沖 ミツバ篇の後をイメージ 「近藤さん、ちょっといいですかィ?」 大多数の隊士は眠っているであろう時間に珍しく総悟がやってきた。 「ああ、とりあえず部屋入れ。」 「失礼しやす。」 入ってきた総悟は何故だかいつもより小さく見えたような気がした。 「何かあるんだろ、話なら聞いてやる。」 総悟は重い口をゆっくりと開き話し始めた。 「…昨日夢を見たんでさァ、姉上の。」 そこからは更に一言一言を絞り出すようだった。 「姉上と話す夢でした。夢の中でだけど、それがすごく嬉しかった。でも何故か目覚めたら涙が溢れてきて。今日攘夷浪士摘発した時ふと夢を思い出して一瞬だけどぼーっとしちまった。そしたら他の隊士が俺をかばって斬られたんです。」 「総悟…。」 「俺はもう振り返らないって決めたんでさァ。…なのに、それなのに俺ァ。」 言葉に詰まる総悟。 唇を噛み締め涙を堪えている。 俺はコイツに何をしてやれるんだろうか? 少し考えたが多くの言葉をかけるのは無駄なのかもしれないという結論に至った。 総悟の隣に座り頭にぽんっと手を乗せてわしゃわしゃと撫で自分の方へと引き寄せる。 「総悟、意地張ってばっかじゃいつかお前が壊れちまうよ。俺がミツバ殿の替わりになれるなんて思っちゃいねぇ。だけどたまにはお前の弱みを見せてくれてもいいんだぞ?」 そう言うと総悟は俺の袖を口に押し当て声を殺してぼろぼろと泣きはじめた。 相変わらず意地っ張りだなと思ったが、これが総悟にとって精一杯の"甘え"なのかもしれない。 総悟が落ち着くまでそばに寄り添い眠りについたら部屋へ連れていき寝かせた。 「大将の俺にはもっと甘えてくれてもいいのにな。」 自分はそんなに頼りないのかという不甲斐の無さにため息をつく。 「もっと頑張らなくてはな、こんな所で落ち込んでる暇は無いぞ勲!」 もっと頼ってくれる様に精進しよう、そう決意し眠りにつく。 ――――――――――― 親子みたいかな、うん 多分お互い信頼しあっててだからこそ一線引きたい、みたいなことかなと考えて書いてました。 近藤さんお父さんみたい 20111029 あずま ←→ |