※キス有












昼休み、なんとなく教室にいるのが憂鬱になり屋上で昼寝でもすることにした。






重たい足をずるずると引きずるように階段を上がっていく。





扉を押すとキィッと嫌な音をたてながら開く。
その先にちらりとはためく白衣姿が見える。











風になびく銀髪。
Z組の担任坂田銀八だった。








口にくわえているのは煙草なのかレロレロキャンディーなのか、もわもわと煙があがっている。









「人の至福の時間をのぞき見たァ、いい趣味してるな。」







「あ、やっぱばれてやしたか。」








この男いつもはだらしない教師失格の輩だが、勘だとかいろいろなところで鋭い場面もある。







「バレてるも何も扉開く音でバレバレだから。」







「あー、確かに。先生はこんなところで喫煙ですかィ?それともあのキャンディですかィ?」







「あー…これ?」





ほんの少し、それを言うのを戸惑っているように見えた。







「これは煙草。
風紀委員だなんだってマヨの野郎がうるさいからあの日はキャンディーにしただけで他の日は毎日こっちだよ。」








そう言うと口から煙草を離しぷかぁっと煙を吐き出して見せた。









「何でィ。てっきり先生は生徒の体に気を使ってキャンディーなめてたと思ったのに。」








「テメェらみたいな奴ら面倒見てやってんだ、煙草くらい吸わせろよ。あとマヨにチクるなよ。」











だるそうに返すと先生はまたグラウンドの方に目をやった。








「へいへい。でも先生?」










あー?とそっけない返事を返す先生の後ろへ近付く。





真後ろあたりにきたところで先生は振り返る、そのタイミングでだらしなくしめているネクタイを掴みぐいっと引く。









「人に物頼むにはそれなりの対価を払う必要がありまさァ。」








軽く触れるだけのキスをした後先生の白衣に顔を近づけすうっと深呼吸をする。







「お、おまなんつーことしてんだよ!」








俺を少し突き飛ばし白衣の袖で唇を拭いながら訴えかけてくる先生の顔は真っ赤だった。









「先生は嘘つくのが下手だねィ。あんたほとんど煙草吸ってないでしょ、その白衣いつも着てるくせに洗剤の匂いしかしねェ。」








図星だったようで恥ずかしさで紅潮している顔がさらに赤くなる。











「まぁ今日のことは黙っててやりまさァ。あんたの可愛い顔も見れたしね。」






唖然とする先生を置いて階段へと戻る。









自分の中の何かが沸き上がり眠れる気分でもなくなったので大人しく教室に座っていることにした。








「…次の授業の時先生はどんな表情をするのか楽しみでさァ。」







早く時間が過ぎる事を願い、自然にほころんでしまう顔を隠すために机に突っ伏すのであった。















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はーい3Zで沖銀!
相互していただいたひおりさんに捧げます、ひおりさんのみお持ち帰り可。


沸き上がる何かとはご想像にお任せします(笑)

20111016



あずま



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