||| plus alpha

「目が、違和感を感じる」
年齢がいくつかということはさておき可愛らしい顔立ちの彼はその顔を歪め不快感をあらわにしている
大丈夫かという私の問いに彼は煮え切らない返事をし、目をこすった

「駄目だ、落ち着かない」
目元をこする彼の姿はまだ眠気を訴えるような様子にも似ている
まぁ、云々いいはしたがつまるところ彼はとても素敵だというわけだ

「取り出して、はめなおしてあげましょうか」
彼は更に深く深く眉間に皺を寄せて信じられないという表情をして私にきもいと一言言った
そういう次元の話ではない、だそうだ

「そう、残念」
ふ、と口元を緩め笑みを浮かべながら目の玉の抜けた彼もきっと素敵なのだろうとひとりごちた

にたものどうし

いつかの続き

何日も何日も布団の中で過ごした
傷跡が一つ一つゆっくりゆっくり減っていく

私を助けた男の名前はサソリだというそうだ
聞き覚えのある気もしたが姿かたちをしっかりとは思いだせなかった

自分で望んだ結果のはずなのに、私は今自分が生きていることが不思議でならない
父や母を犠牲にし、兄をこの手で殺し、よく知らない男も手に掛けた
そして私は生きているはずなのに、実感がないというか、何故生きているのだろうとさえ思う
お腹がすいたからと誰が用意したかもわからない食事を口にして吐いた
胃が驚いたんだろうか
とりあえずその日は寝た

ある日サソリの姿を見た
布団の中で寝転んでる私に何冊かの本を持ってきたのだ
ずっと寝てたら脳みそ溶けるぞ、と言われた気もする
寝転んだままそっと手を伸ばしばらばらと紙をめくる
特に私の興味をそそるものではなく視線をはずして彼を見る

世話を焼いてくれてありがとうとお礼を言うと死に損なっただけだろうと言われた
そう言いながら彼は表情を変えずに、無表情のままで私の頭を撫でた
まだ幼さの残る顔かたちの整った男であるサソリの手は、冷たかった
そして私は字が読めなかった

何日か経って再び彼と顔を合わせた
相変わらず私はろくに食事もせずに布団の中にいた
字が読めないことを伝えると彼はあきれた様子で子供向けの本をいくつかその本の山においていった
これなら読めると本を手にすると思っていたよりもその字の羅列は面白かった
それからまた数日間、私はろくに食事もせず眠りもせずにずっとずっと字を追い続けていた
自分の無知さ加減に嫌気がさすようになったところで再び彼と顔を合わせた
そしてそれは私がひどい空腹感を覚えた時でもあった
腹が減ったことを伝えると彼は呆れたような顔をしてろくに飯も食わずに吐いてたゲロ女が、とそのようなことをいっていた
事実なので言われるがままにいるとやっぱり彼はお人好しなのかなんなのか私に食事を用意した
気分は最高というわけではなかったが用意されたものにがっついていると涙がこぼれた

私は死にたくないのだ
死ぬのがとても恐ろしい
生きていたくてたまらない
何を犠牲にしてもいいから

泣き続ける私にさして興味をしめすことなく彼は部屋を出て行った
生きていくためにと知識をつけ、怪我もすっかり癒えてようやく普通のスタート地点にたてて、私は再びこの組織のメンバーの一員として扱われるようになった
サソリのパートナーとして再び任務や何やらとやらされるようになった
彼と他愛のない話をたくさんした
彼が私のことを褒める、のがとても嬉しかった

頭がいいと褒められた時に散々馬鹿にされた話をした
すると無知なだけだったんだろう、馬鹿とは違うと何やら難しい話をされたが嬉しかった
が、しかし、決して自分は頭が良かったわけではないと思った
冷静で、判断力がある、のかもしれなかったがそのかわりに感情の何割かは壊死しているに違いないと思った
私には他人を思う心がひどく欠落しているだろう

とにかく私は彼のパートナーとしてこれから長い付き合いになるわけだ

サソリさんとおてて繋ぎたいんだ!

森の中を歩きながらふと彼の手を取った
怪訝そうな顔をされたが彼は何をするでもなく先へと進みだした
私も特に手を取ったからといって何かあるわけでもなく彼の後ろをついていく
こうして誰かの後ろをぼんやり歩くのは久しぶりだなぁなんて考えながら歩く

彼の手は冷たい
体温が全くないわけではないだろうが冷たい
人の体ではないのだから当たり前といえば当たり前だ

冷たい

「お前の手は温かいな」
そう言われて思わず足を止めた
別に私は体温高い方ではない
むしろ低い方だろう

あ、そうじゃなくて、そうじゃ、なくて、
私は彼の体温がわからないが彼にはわかるらしい

なんとなく、それだけでいい気がした

サソリさんのおててもみもみもみんもみんしたい

Nov 11, 2014 23:18
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