||| plus alpha とある小さな島国の国は 良識の範囲内だがたくさんの女を側に置いていた それぞれの女を愛していたしその子達にも平等だとは言い難かったがそれなり愛情を注いでいた 耐えきれなかったのは女の方だった とある女が王の愛を独占する事ができず嫉妬しあろうことかその女は王に似ているからと子に手を出した 告げておくならば彼女は決して実子に手を出したわけではなかったが王にとっての問題はそこではなく 自分のものである女が自分の子供とそういった関係になったことに問題があるわけだ 当然その女と子供は殺された それですめばいいものの王の怒りは収まらず自身の子を、男の子を全員殺した さて、後継者はどうなる、といった問題があがってくる前に王の奇行はひどくなる一方だ 自身の子を幾人も殺し終えたかとおもえば女は信用ならぬと言いだし侍らせていた女たちを殺し始めた 不安を感じたのはその女達だけではなく、女達の娘たちもだった 鬱々とした日々が続く中、王にとって初めての娘である彼女は耳を疑った あろうことか父は…あの愚帝は自分の娘、彼女にとっては妹に当たる子だ そのまだ幼い少女を床に呼んだ 呼んだ後何をするのかはわかりきっている そしてそのあとどうなるのかも ぶつりと何か切れた音が聞こえた気がした それからはあっという間で全部夢だったといわれても彼女には納得がいっただろう 妹の代わりに自分が王の…認めたくはないが父親の寝床へといった たんけんをもって、だ もちろん床の間で気を張るような男ではなくあっさりとその刃は彼の皮膚をさき、肉をえぐった 何度も刺した 自分の手が血塗れになり呻く醜い声も途切れた後、しばし放心し、本当に死んだのかと硝子みたいな目玉を押した かくしてこの国の王は死んだ そしてしばらくして齢17の娘が女帝として国の頂点にたった 周りの国の風当たりは強かったが見事な手腕を発揮し国は安定した が、決して彼女の政策は生易しいものではなかったし女尊男卑の考え方を芽生えさせたりもした 「…っは、ぁ」 世界会議の場にお着きの人として連れてきた妹たちは既に休ませた だから、緊張の糸が切れたわけだ ずるりと壁に背を預け座り込む とても、疲れた そして今のわたしの立場は危ういということも重々理解した まだ若く世間知らずなバカ女が治める小国などいつでもどうにでもできる、と思われているのだろう 言葉の端々から伝わってくるのだそういうものは 決してそんなことはさせない …貿易からはじめ他国との結びつきを強くするのだ アラバスタの国王は人当たりもよく付け入りやすそうだった…私を哀れみの目で見ていたのには多少不快に感じたが… 他国と友好な関係を築くのは大切だ…だが依存するのではつけいれられる…だからまずは自立を…それから牽制のための軍事力を…いやいざとなれば頼りになる力を… 扉の開く音に振り向いた 「どうしたの眠れないの…ー」 振り向いた先には先程の会議で見かけた男の姿があった 背の高いサングラスをかけた男だ ピンク色の鳥の羽のコートを肩に掛けた…名前はドフラミンゴだったはずだ 一体こんな夜更けにノックもなしに私に何の用事だろうか 警戒心を露わに男と向き直った ことはすぐに済んだ ずいぶん身構えて訝しげな態度をとってしまったことに申し訳なさを感じるほどだった 彼は…思い返せばあの会議の最中でも彼だけは私を一国の主として接してくれていた気もするが…とにかく彼は貿易をしないかという話をしてきた それはそれはうれしい言葉ではあったが勿論すぐには返事をしなかった 何かたくらんでいるのではないかという疑念は消えなかったからだ だがしかし、彼がいうには先代の時から交流があったのだそうだ 確かに彼の国の名前は書類で見かけていたし嘘ではない 国内が落ち着いてからでいいから再び…という話な訳だ 断る理由はなく受け入れた 一歩前進ということだろうか 「随分ふざけた話だとは思いませんか」 不平をもらすのは妹の一人だった 新しい国王がついて早数年、大きな争いもなく貿易で栄えたこの国の新たな問題といえば後継者のことだった …あては、あるのだ いや、なんなら優秀な妹たちの誰かに国王の称号くらいくれてやってもいい いやいや、なんなら優秀であれば血筋も性別も関係ない が、あては、あるのだ 既に二年前になるのか この国の盤石をたててくれた人といっても過言ではないと思うのだが、あの鳥男に求婚された 元々そういった関係ではなかったし酔っぱらってたからかってただけ本気ではなかったと言われたのなら何事もなかったように過ごしてやろう が、なにを思って求婚したのかはともかく本気だったらしいので受け入れた じゃあ結婚…という流れになってすでに二年だ 連絡は時々とる…だがどれもすべて事務的なものだ そういった話にはならないしそもそもどうしてそんな話になったのかもよくわからないのでわざわざその話題を切り出そうとも思わなかった 別に結婚などなくなってもいい…いやなのはこのままずるずるとどっちつかずの状況だ もし、万が一、ありえないが…彼が私に惚れていて求婚したのならば…連絡を取るなかであそこまで事務的になるものだろう? そもそも…そういう感情を抱くような接触を一度でも…一時間でもしただろうか? それにわたし…私は、あの男の、随分背の高いあの男の、猫背が、気に入らない 深呼吸を一つして、もう少し様子を見ようと思った という話が書きたい ドフィはたぶん忘れてる ごめんねべつにすきじゃないんだ May 25, 2014 23:10 browser-back please. |