||| plus alpha 嫁いだ先の内政が荒れたからと父が厚意で煌まで連れ戻したのは二人目の妹に、なる 幼い頃は一番仲良くしていたしとても美しい人だったというのを思い出しては感傷に浸った 兄に昔こういったことがあったねぇ、懐かしいねぇ、と年寄りじみたことばに同意を求めればしばらく黙った後に彼はあれか、柿をぶつけ合ったあの…と訳の分からない思い出話で確認をとろうとしてきた 多分、彼はあの美しい妹と誰かを混同しているのだろうと思う まぁまぁ不謹慎かもしれないが妹と会うのが楽しみだと、思った 妹が帰ってきて形式的な挨拶を終えた 十年ぶり程になるのか時間というものは恐ろしく彼女を変えていた 元々愛らしい顔立ちではあったのだけれどこの十年でそれこそ恐ろしく美しくなったわけだ (まともにみれない) 決まりきったやりとりを終えると彼女はこれからのみの振り方を考えなくてはと父の元へいってしまった これからどうするかはさておき彼女はすでに結婚をしていて子供もいる、と聞いた 十年と言うときはとても恐ろしく長いのだと改めて感じた もうあのおさないころとはなにもかもちがっているのだと 「変わらないでいらっしゃるのね」 しばらくは彼女と会う機会もなかったのだが書物でも読もうかと足を運んだ先に偶然彼女がいたわけだ 真剣な表情で文字を追う姿は昔と変わってない気がしたのだがまさか彼女も同じようなことを考えているとは 相変わらず勤勉なのねと目を細めて笑いながら彼女が言葉を続ける 「お兄様も勤勉でいらっしゃるけど、ふふ、お姉様に誘われては外に行っていらしたでしょう?流石に剣のお相手は周りに止められていたようですけど」 しばらく他愛ない会話をした後に彼女がそろそろ部屋へ戻ると言った 久々に話せてうれしかったと言うのは伝えていいものなのかまよったから止めた 「紅明様、久々におはなしできて嬉しかったです。またお時間ありましたら是非」 そういえば彼女は私のことを名前で、呼ぶ 時々妹と偶然会っては他愛ない会話をする、ということ以外至ってふつうの日常だった 相変わらず軍議はいそがしいし鳩は可愛いし未だに自分の髪一つ私は結えないでいるわけだ そんな私の耳に入ったのは彼女が嫁いだ国の王政が倒れ、益々荒れていると。まだ幼い王子も王ともども殺された、と。 頭の中が真っ白になった後、それは彼女の息子が死んだということだと理解した しばらく彼女にはあいたくない、と思ったのは何故だろうか 大体こういうときにこそいやなことはおこるものだ 彼女がいきそうな書斎もろもろを疎遠にしていたにもかかわらず私は彼女にあった たった一人きりで空を見上げ小さくため息をつく姿は人形かなにかのようできっとだれも放ってはおけないだろうと とにかくとにかく美しかったわけだ やはり落ち込んでいるのだろうとそっと近づき声をかけ、いつもと同じく他愛ない会話をした後、慎重に言葉を選び慰めようと、したら、 「何故、私が悲しむのですか?」 笑ったままの彼女がそう、言ったわけだ 自分は子供ができない身体で王子は側室の子供で体裁の為に養子にとっただけ、で、 「この十年間、あなたのことを忘れた日はありませんでした」 その言葉がなにを意味するかわからないほどもう幼くはないのだ 彼女はそっと私に近づき手を伸ばすと髪を撫でてきた 私が抵抗らしい抵抗をしなかったからかするりと首に腕をまわしてきてそっと寄りかかってくる もう元には戻れないだろうしこんな時でも私はやっぱり彼女は美しいなどとぼんやりそう思っているのだから終わってる まだ眠いと目をこする私の名前を呼ぶ声に渋々目を覚ました 顔をのぞいてくるのは幾度かみたことのある男だった 妹の従者の、赤毛の、ぼんやりと相手を認識してそう言えばと彼女はどこかと問いかけた 湯浴みにいったと答えられなるほどと頷いてからようやく、寝ぼけていたと自覚した 「なんて、ことを」 ここは彼女の部屋だ 昨晩何をしたか忘れたわけではなくなかったことにできるわけでもなく、なんだかひどく頭が痛かった 馬鹿なことをしたと、思った 「…何か、言いたいことは?」 元々相手はぺらぺらしゃべる方ではないとわかっているが主君のこの愚行、なにも感じないというわけではあるまい そういった意味で問いかけると相手は私をじっとみて姫様が好きかと聞いてきた 曖昧に言葉を濁しに濁し続け、ああ、私は彼女が好きなんだろうか、と思った (幼い頃、から) 肯定すると彼は迷いに迷って正直よかったと思っていると言った 「あの人は今がとても幸せだと思うから」 愛する人と結ばれて、と彼が言う 何となく私が場の雰囲気に飲まれようとしているのだけどふるふると首をふって早く着替えて部屋に戻ろうと、思った こんなのはよくないと思っているわけだ ねむいっす Feb 20, 2014 17:37 browser-back please. |