ハリ男 | ナノ

「ハリー!ハリー・ポッター!起きろ!」

小雪と思う存分戯れた後、早起きした分の睡眠を取り戻そうと寮に戻ってすぐに二度寝に励んでいた俺だけど、ゆさゆさ揺さぶられて掛けられた声にゆっくりと意識を浮上させた。
目を開けばそこには輝かんばかりのプラチナブロンド。えっと確かー…

「マルコ、ドラフォイ」
「ドラコ・マルフォイだ!」

おう、素晴らしいツッコミありがとう。そうだそうだ、ハリー・ポッターのライバルくんだ。原作では確かすっごく嫌味なヤツで描かれてたな。典型的な悪役のやられキャラ。映画版じゃない方のジャ○アンみたいな。さてはて、原作から外れた今、君はどんな風に接してくるのかな?原作ではハリーが彼の言葉に従う前まではそれなりに好意的に接してくれてたはずだけど。
眠りの世界へ片足を突っ込みながらマルフォイの言葉の続きを待つ。

「もうそろそろ準備しなくていいのか。早くしないと朝食に間に合わないぞ」

あー、何だ、そんなことか。
口には出さないけど、内心で零す。

「俺、パス。ごはんいらない」

それより睡眠ですと言わんばかりに再び布団に戻ろうとしたんだけど、待てとばかりにマルフォイに布団を掴まれ引き止められる。
なーに、もうとじと目を送れば何故だか不機嫌そうに眉に皺を寄せてるマルフォイさんがいらっしゃいました。気分的にさん付けしてしまいました、まる。

「朝食を取らないつもりか」
「うん。俺、家でも取ってなかったし」

俺も一応軽い虐待もどきを受けてまして、まぁ、原作ほど酷いものではなかったのでちょっとご飯の分量が少ないとかそれくらいだったんだけど。で、朝ご飯は特に酷くて。いや、元を正せば俺が悪いのだけど。
睡眠至上主義な俺は、朝食取る時間も惜しくて寝てたんですよ。というか、朝食の時間に起きれなくて。そしたら気が付いたら俺の分の朝食はダーズリー家から消えていましたとさ。めでたしめでたし。
そんな訳で俺は朝食はいらない体になったのです。オーケー?わかったら眠らせてくれんかね。

「…何が“うん”だ。朝食は一日の始まりとして重要な役割を担っていて…」

栄養だどうだエネルギーだどうだとうんちく?をだらだらと話し出すマルフォイに俺はぽかーんとしてしまう。俺、ご飯いらないって言ったよね?後ろで待ってる取り巻きくん達と先に行ってていいよって暗に言ったつもりだったんだけど。ってかさ、これって果てしなく俺の勘違いかもしれないんだけどさ…。

「もしかして心配してくれてるの?」
「なっ!」

俺の言葉に頬を赤くしたマルフォイ氏。こ、これはツンデレktkrですか!?と秋葉系で言ってみましたが、反応からして本当に心配してくれてたらしい。まだ会って一日くらいなのに。お世辞にも愛想いい訳でもない俺のことをもしかして同室になったからという理由だけで心配してくれたんだろうか。

「なーんだ、マルフォイって優しいんじゃん」

俺ってば原作のイメージで勝手に嫌味で小物のくせに人の神経逆なでする絶対に関わりたくない系のお坊ちゃまなのかと思ってた。なーんだ、そんなこと、全然ないじゃん。
嬉しくなってニコニコと笑みを浮かべた俺はまさに上機嫌というやつで、マルフォイの耳が赤くなってるのには気付かなかった。

(う、うるさい…!そうじゃなくてこのままだとお前が授業が始まっても寝続けるような気がしただけだ!早く起きて準備しないか馬鹿者が!………、それから、“ドラコ”でいい)


121024


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -