男主用短編 | ナノ

オレの恋人は、変態だ。っていうか、フェチズムが強い?
よくわからないけど、オレの顔が大好きらしい。
「俺、お前の顔好きだわ。俺にその顔、頂戴」と言われて、早三年。最初は首ちょんぎられて剥製にでもされるかと思ったけど、名前は生きている状態のオレの顔がいいらしい。表情の変化とかも込みで好みなんだって。よくわからない。

でも、オレも名前の全身を舐め尽くしたいという結構変態的な性癖があるからお互い様だと思ってる。
名前の肌は、彫刻なんじゃないかって思うほど白くて綺麗。
でも生きている人間だから、温かくてすべすべでぞっとするほど柔らかい。
この肌の下に、筋肉があって骨があって名前の血液が流れているかと思うと、すごく興奮する。
舌で肌の弾力を確かめて、名前の味を堪能する。あんまり美味しくはないけど、たまらない。一度知ってしまったらもうやめられない。

「俺なんて外見の美醜にちょおっと煩いだけだぜ?それがあの公害変質者なピエロと一括りとかちょー解せね。まぁアイツも俺的には顔で全部チャラなんだけど」
「そうだよね」
「いや同意求めといてなんだけど、お前にはなんかむしろ同意されたくねぇわ変態」

脚の付け根を舐めていたら首に手刀された。顔に攻撃しないのは、やっぱりオレの顔傷つけたくないから?
流石にちょっと痛くて首を摩りながら抗議をする。酷いなぁ、口を尖らせることは忘れずに。

「俺が変態なのって名前にだけだから。それってむしろただの愛情の行く末じゃない?」
「愛なの?じゃあ仕方なし。俺も愛だからちょっと今日は一時間だけで妥協するから顔愛でさせてお願い」

言うや否や両手で挟まれた顔。
あ、これヤバイな。名前のスイッチ入っちゃった。
目と鼻の先まで近づいてきたと思ったら離れて、挟む手の力変えて弾力確かめられたり、瞬きの時の睫毛の僅かな揺れを凝視されたり。
もう一度目と鼻の先まで近づいてきたので、オレからも距離を詰めキスをした。好きな人がこんなに間近にいて何もしないのとか、オレは無理。

「名前、名前」
「おい、顔見えねぇだろ」

あわよくば、このまま行為に持ち込めないかなって首元に顔を埋め愛撫を始めてみたものの、返ってきたのは不機嫌全開なドスの効いた低い声。
オレの顔、確かに名前からは見えなくなったと思う。
けど、オレは名前のことが好きで、
名前と愛を育めるならオレのフェチズムなんて後回しにだってできるのに

あれ、でもオレ、名前に顔以外のところ、好きだって言ってもらったこと、ない――

会話の内容だって、顔に怪我してたら「その怪我どうした」とかそういうので…

オレ自体に、名前は興味持ってくれたことあった――…?


「もう初対面から三年目だけどさ、俺の名前知ってる?」
「知るわけねぇじゃん」


そっか。
名前が「俺にその顔、頂戴」と言ったのが、三年前の今日だってこと、覚えていないだろうなとは思ってた。
でも、それよりももっと基本的で根本的なところを、オレは勘違いしていたみたい。

そっか。
名前も知らないのか。

流れた涙は、自分のものではないかのように頬をなぞって落ちていった。

恋人だなんて、オレは知人以下だった


140322
某夢サイト管理人な友人とのオフ会お遊びゲーム企画A
指定:シャル、キャラの顔だけ好きな主。そこに愛はない、バッドエンド
友人の書いた夢が、お相手被ってて話的にも使えそうだったので、勝手にシャルナーク視線で書いてみました。イメージ崩してたらごめんなさい☆彡



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