2nd caos | ナノ

エデンの園の宝箱について

エデンの園の宝箱が終わりました。が、私の文章力のなさから伝わらなかったところやわかりづらかったところだらけだったと思うので、補足という名の言い訳をつらづら書いていきたいと思います。

・え、あれで終わりなの?
私もそう思いました。連載した当初、いくつかの結末を用意していました。その中のどれかになるだろうなーと思っていたら、あら不思議。蓋を開けてみると用意していたどの結末にもなりませんでした。そして、用意していたどの結末よりも酷い結末になりました。
予定では、作兵衛は死ぬ予定でした。周りは決して納得できなくとも、二人は幸せになった…、メリーバッドエンドになるはずだったんです。
でも、書いてて「あれ…」という自分の中の違和感を無視できなくなったため、あんな終わり方になりました。
違和感を感じた点は幾つかあるのですが、一番大きなものは24話の死に際の湊が、笑顔の作兵衛を見たシーンです。
実際に、あの場に作兵衛が居たら、顔面をぶっ叩いて怒鳴ってでも生きるように言うと思うんですよね。つまり、湊が見た作兵衛は、湊の願望で、湊の生み出した幻想です。
同じように、作兵衛が死に際に見る湊は、どんな湊だろう…?そう考えたとき、きっと作兵衛が見る湊は、「生きろ」と言うと思ったんですよね。死にたがっている作兵衛が、何故自分で生み出した幻想に「生きろ」と言われるのか。矛盾しているようですが、その矛盾が、私の考える作兵衛“らしさ”でした。
一応最終回の次の日、湊そっくりの男が忍術学園を訪ねてくる、という救済の話を考えたのですが…、一話では収まりそうにないということと、他のお子さんとの絡みが書けないのならつまらない、という理由でボツになりました。

・志乃さんの死因って毒じゃないの?
最終回でちらっと触れていますが、苦無によるものが直接の死因です。
24話では、怖気づいていると取れるように書かれていますが、彼女は彼女なりに湊を愛していましたし、その愛は本物でした。
湊が最後に残した、「愛してる」も自分へのものではないと気付きながら、それでも湊を一人占めしたくて共に死ぬということに迷いはありませんでした。
湊が命を経った苦無で首をかっ捌いて、口付けするかの如く湊の上で死んだ…。というのが彼女の最後です。
誰にも志乃さんとの関係性を言っていなかったので、そんな見つかり方すれば、当然のように痴情の縺れだと思われますよねー。その噂も作兵衛を追い詰めた要因の一つだと思うのですが、何かもう、ごめんなさいと言うしかないですね。
ちなみに、何故志乃さんがあそこまで狂ってしまったのか。湊に執着してしまったのか。その理由も考えていますが、完全に蛇足となってしまうので書くつもりはありません。ざっくり書くと、食堂のお姉さんの前世をより悲惨に、救いのない感じにした過去になってます。

・志乃さんが町に現れてたのって何?
志乃さんが町で湊を探していたのは、忍術学園がどこにあるのか知らないから、というのがあります。
上手く伝わっているか自信がないのですが、
湊は三年の夏休み中、妹に嫌いだと言われて、うすうす感じていた自分を取り巻く環境の異常さに気付きます。そして動揺の末、「貴方さえ居なければ…!」と錯乱、志乃さんを刺した後、逃亡します。その錯乱した状態で、梓の家に行き、そこから残りの夏休みを梓の家で過ごす。

冬の長期休み、実家に帰ることもできず、かと言ってずっと梓の家にお世話になる訳にもいかない。どうしようととぼとぼ歩いていたときに見つけた空き家で過ごし始める。「あ、やべ。死ぬ…」状態のときに拾ってくれたのが椿姉さんです。それ以降、長期休みのときは椿姉さんの元で過ごすようになります。
以上のように、三年の夏から、湊は実家に一切寄り付かなくなっています。湊の実家の近所に住んでいる志乃さんも、湊が帰省しなければ当然会うこともできません。
会いたいというフラストレーションが爆発した結果、町に近いところに新たな家を買い、どこにあるかもわからない忍術学園に通う湊を探し始めます。多分、金を作るために、手段は選ばなかったでしょう。狂ってやがる、ですね。
ちなみに、志乃さんが現れる前までの、湊の人生設計は、実家とは反対方向の遠くの地で、そこそこの給与のもらえるところに就職し、次の夏がきたら嫁ぐという妹に嫁入り道具を買ってやりたいというささやかなものでした。ただ、忍術学園の人とは全員縁を切るつもりでした。万が一、志乃さんが自分のことを探し始めたら迷惑を掛けてしまうから。
連載中のように、立ち向かうことを選択しなかったら、ずっと志乃さんの影に怯えて逃げ続ける生活をしていたと思います。

・そういえば、照星さんが湊のこと嫌いって?
冒頭でも幾つか結末を用意していたと言っていましたが、これはハッピーエンドになったときの伏線で書いたものでした。
ハッピーの欠片もない終わり方をした今となっては、全くの無駄になってしまいましたね。
これと同じように、どのエンドになってもいいように、幾つか伏線を引いていたので「あれ、これ本編で触れないの?」っていう箇所があったら、「失敗した伏線の残骸か…」と思っていただいて大丈夫です。

・「エデンの園の宝箱」っていうタイトルについて
補足とは関係のない話ですが、よかったら見ていってください。
タイトルは、いいものが全く思い浮かばず、最終的に面倒になったのでそのまんまのタイトルを付けることにしました。
忍術学園というエデンで見つけた、作兵衛や友達などの宝物。
そういう意味でした。
でも、書いていて、これはちょっと違うな、と思いました。
後付けですが、湊にとってのエデンは、志乃さんと過ごした幼少期だったのではないかと思います。
「世界で一番重い愛とは何か?」
笹原 雨くんの親御さんである、雨さんと話したことのあるテーマです。
私の考える、世界で一番重い愛を受けた人が、湊です。
湊が幾ら否定しても、湊が志乃さんと過ごした日々は、確かに幸せなもの、エデンだったはずです。
禁じられた木の実を食べ、知恵を付けたアダムとイヴのように、禁じられた外の世界を見る内に、湊も知恵という名の常識を身につけた…。
ニュアンスが伝わっているか不安ですが、幸せになれたはずなのに、最後に志乃さんを選んだことも、死を選んだことも、適当に付けたこのタイトルと少し関係があるのではないかな、と連載を書き終わった今となっては不思議と思います。
じゃあ、エデンで見つけた宝箱って何だったのか?その中身は?
…それは、私自身、言葉にするのが難しいので、皆さんの中に何か感じるところがありましたら嬉しいです。

・最後に
基本的に、夢主を一人とする連載しか書いたことがないので、同時間軸を多角的な視点で書くということが新鮮で堪りませんでした。
他サイト様のお子さんを借りて、話を書いていくというのもとても楽しかったです。
お互いの夢主を登場させる連載を書くという、面白い試み(?)に参加させてくれた砂羽さん、雨さん、菜月さんに感謝の意を捧げます。そして、快くお子さんを貸して下さったのに、湊をあっさり殺すという好き勝手をしてしまって申し訳ありませんでした。

今回エデンの園を書いて思ったことは、一つです。
私は三郎を性格悪く書いてしまうのと同じように、三之助を病ませてしまいたくなるんだ、ということです。
長々とお粗末様でした。
機会があれば、私の考える「世界で一番重い愛」についても語りたいですね。




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