ティーカップを口元へ運ぶ彼女は微笑んだ。
身に着けているのは黒い衣装。
彼女は死神だ。
しかし、此処に居る。
白は似合わないの、と云っていた。
だから黒を着ていたいの、とも。
この城で彼女は唯一違う色を纏う存在だ。
「そろそろ惣右介の処へ戻らなくちゃ。彼、心配性なのよね。」
思い出したように立ち上がり扉を押した。
「ありがとう、テスラ。とっても楽しかったわ。」
彼女は無邪気に微笑む。
「いえ、僕も楽しかったです。」
彼女はじゃあね、と小さく手を振って扉の向こうへ消えていった。
彼女は藍染様の恋人で。
そんなことは分かりきっている。
彼女が此処に居る理由そのものだから。
それでも好意を持ってしまった。
それは叶うはずの無いもので。
小さく溜息を吐いた。
独りの部屋に空のカップが二つ。
虚しいような、淋しいような。
まだ、間に合うかもしれない、と彼女を追う。
廊下の先に彼女を見つけた。
「待ってください。」
彼女が立ち止まる。
そして、不思議そうに振り返った。
「テスラ、どうしたのよ?」
「僕は貴女のことが・・・」
好きです、と続く筈が彼女の指で止められてしまう。
「ダメ。云わないで。」
一瞬彼女の顔が悲しそうに曇った気がした。
気のせいだったのだろうか。
彼女はいつものようにやわらかく微笑んでいた。
「また、来てくれますか?」
僕の問いに彼女は無邪気に笑う。
「勿論よ。」
見計らったようなタイミングで藍染様が彼女を呼びに来た。
今行くわ、と藍染様に返事をし、僕にじゃあね、と云う。
二度目の別れの言葉だった。
彼女はくるりと踵を返し藍染様と元へ歩いていく。
翻った死覇装から彼女の香りがした。
また独りになった。
二度も別れの言葉を聞く羽目になるのなら、追わねば良かったと思う。
遠くから藍染様が会話の中で彼女を名と呼ぶのが聞こえる。
僕が彼女の名を呼ぶことは赦されない。
彼女は藍染様の物なのだから。
名"
せめて、と心の中で彼女の名を呼んだ。

名も無き華の如く

微笑んだ貴女がずっと傍にいてくれたら、と僕は独り願うのです。



アトガキという名のいいわけ

とある友人が彼の名を連呼していたので。
テスラさん初めて書きました。
キャラがいまいち分かりません。
創作を始めてかれこれ5年位経ちますが文章は一向に向上せず。
文才降ってこないかな〜と毎日思う私ですw




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