熱に浮かされているみたいだ、と私は思った。 晒された素肌に彼の指が触れれば、そこが熱を帯びていく。 もったりとした暑さと汗ばんだ肌。 ぬるま湯に浸かっているような感覚。 愛は、こんなにも心地いい。 愛されている。 愛されているようで愛されている自分を見ている私がいる。 彼が愛しているのは私のはずなのに私は私がわからない。 「びゃくっ…や」 「どうした?」 もっと、が言えない。 強請るなんて愛らしいことを私が出来るわけがない。 「何を望む?名、お前の望みを」 色気を孕んだその声。 嗚呼、私はその声に逆らえない。 「もっと…あいしてっ」 「よかろう。その身に刻み付けてやろう。」 彼を見るたびにぶり返す余熱は、冷めることはないのだと私は再び実感させるのだ。 アトガキという名のいいわけ たまにはいいかも、なんて思いまして。 本能のままに。 Back |