帰ってくるって信じてる。 それでも 帰ってくるまでは心配なのです。 宵 恋人の白哉が任務に出てから約4日。 帰還予定は昨日だった。 何の連絡も無く時は只過ぎてゆく。 気を落ち着かせようと風呂に入ったのだがあまり効果は無かったようだ。 湿った髪から水滴が落ちていく。 タオルへ染みていくそれをぼうっと見つめていると通信機が鳴った。 現世の携帯電話を模して作られた道具だ。 ディスプレイには白哉の文字。 迷う事無く通話ボタンを押す。 「もしもし?」 『名か、私だ。』 「それ位分かってる。」 久々に聞く恋人の声に嬉しいながらも平然を装った。 『変わりないか?』 「ええ。白哉は?」 『大事ない。』 「そう。」 肩の荷がおりて少し気が楽になる。 玄関のチャイムが鳴った。 「誰か来たみたい。」 『出るのか?』 「そりゃ出るわよ。」 夜もふけたこんな時間に誰が、と思う。 『無防備な格好はしておらぬか?』 「大丈夫よ。」 知らぬ間に手に汗をかいている。 『気をつけるのだぞ?』 「分かってる」 心配性の白哉へ言葉を返しつつ戸を開けた。 「っっ!!」 そこには通信機を片手にした白哉がいた。 「無防備ではないか。」 「白哉…」 眉を顰めた白哉に名は何も云えない。 「このような薄着では湯冷めをする。」 通信機を持ったまま固まる名の頭を胸板へ引き寄せた。 「ただいま。」 「おか…えり」 微笑む白哉を見て耳から通信機を離す。 「名に一番に会いに来たのだ。お前は心配性だからな。」 「別に心配なんてしてない」 「泊まって行っても良いか?」 「仕方ないわね。」 あきれた様子で白哉を部屋に招き入れる。 そんな名の足取りは弾んでいた。 完 アトガキという名のいいわけ 任務後の白哉さんは真っ先に恋人に会いに行きそう。そんな妄想からw Back |