「ねぇ」
話しかけてみるが相手の反応は無い。
「ね〜ってば」
「何だ。」
「聞いてるなら返事しなさいよ。」
名は頬を膨らませ、白哉を睨んだ。
「私が返事をしようがしまいがお前は勝手に喋っているではないか。」
その指摘はあながち間違ってはいない。
「そうだけどさぁ」
「他に用がなければ帰れ。」
鬱陶しそうにこちらを見て溜息をつく。
「分かってないなぁ、乙女心を。」
「お前がその乙女心とやらを持ち合わせているようには見えぬが。」
「持ってます!!」
小馬鹿にしたように口角を上げる白哉。
いい加減、気付いてくれてもいいんだけどなぁ、と呟いてみる。
「何の話だ?」
「別に」
今すぐにでも貴方のことだ、と言ってしまいたい気持ちは山々。
けれど幼い頃から鈍感な彼に教えてやるのはもったいない。
向こうが気付くまでは言ってやらないと決めている。
「鈍いよなぁ」
小さい声で言ってみた。
「何か言ったか?」
「何も。」
仕事になるとしっかりしているのに色恋沙汰になるとこうだ。
全く困ったものだと名は溜息をつく。
長椅子に寝そべって白哉の筆を見つめる。
ぶれる事無く紙の上を滑るそれ。
男の癖に、と悔しくも羨ましくも思ってしまう。
彼は決して手を抜かない。
それは惚れた理由に確実に入っている。
「ねぇかき氷、食べに行こう。」
「何故だ。」
「私が食べたいからに決まってるしょ。」
ね、行こう?、と強引に誘えば白哉はしぶしぶ頷いた。
「そこで静かに待っていろ。」
「はぁい」
間延びした返事をして名は口角を上げた。
いい悪戯を思いついたのだ。
白哉のかき氷にこっそり練乳を入れてもらおう。
甘いものが苦手な白哉が眉を寄せながらかき氷を食べる姿が目に浮かぶ。
それ位なら許されるだろう。
ほんの少しの仕返しだ。

糖分100%
(貴方のことが好きなのよ!)

毎日楽しいからもう少しこのままでいいかなと思ったのはナイショの話。



アトガキという名のいいわけ

夏、と言えばかき氷。
白哉さんがかき氷とかかわいい(鼻血)





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