授業の合間に窓の外に視線を投げ出すと、空を歩く人を見た。
その人は時代劇から出てきたような格好をしていて、そしてとても綺麗だった。


放課後、家の手前の角を曲がると何かにぶつかった。
「あ、すいません。」
「失礼。」
長身の相手を見上げればさっき空を歩いていた人。
女性だ、と言われても頷いてしまいそうな美貌だが声からして男性だ。
「あの、さっき空を歩いていませんでした?」
間違うはずが無い。
これだけ綺麗な顔をした人がホイホイいる筈はない、と思い切って尋ねてみた。
すると、その眉間に皺が寄った。
「やはり見えていたか。」
「え?」
小さく呟かれたその声はよく聞こえない。
彼は首を横に振った。
「何でもない。先程のことは忘れろ。」
良いな、と念を押してから彼は去っていった。


それから数時間後。
夜食を買いに行った私の前に化け物が現れた。
動けずにいるとひらりと蝶が待った。
「また貴様か。」
上から降ってきた声はあの人のもので。
「はは・・・また会いましたね。」
「暫し、そこで待っていろ。」
刀を片手に、空へ飛び上がり舞うように振るうと化け物は一瞬にして消えた。
「王子?」
思わず口から飛び出てしまった。
「私は死神だ。」
王子ではない、と居心地悪そうに顔を顰め私を立たせてくれる。
「ありがとうございました。」
頭を下げれば彼は礼などいらぬ、と言って夜の空に消えた。
これはもはや運命と呼んでいい気がする。

春を待っていました

名前は知らないけれど
(恋に落ちる音がした。)



アトガキという名のいいわけ

久々の現パロ。
いやぁ文才欲しい(切実)





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