隊長と三席と。 二人だけの隊主室。 副官はどうやら昼食を摂りに行ったようで。 耐え難いくらいの静けさと共に朽木家の使いが持ってきた昼食を食べている。 「私の妻にならぬか。」 静けさを破ったその声に名は顔を上げた。 「は?」 彼女は格の差など全く無視した声を上げる。 「何を思ってそんな事を云ってるの?」 「私は本気だ。」 そんな事を云っているのではない、と名は首をふった。 「私たちは恋人?違うわよね。」 うむ、と白哉は相槌を打つ。 「私たちは幼馴染でしょ?」 再び白哉はうむ、と相槌を打った。 どくどくと力強く脈打つ心臓を落ち着かせるように深く息を吸う。 「それ以上でもそれ以下でも無いわ。」 名の言葉に白哉は静かに目を伏せた。 「私は名を好いておる。」 「何をっ」 白哉の突然の告白に顔が熱くなる。 「名は私が嫌いか?」 「別に、嫌いじゃない…けど。」 幼馴染としてしか見ていない。 それが名の本心だった。 共にあることが普通で、恋愛感情など無く。 恋心を抱いたことなど一度も無い。 白哉を異性として見ていたかもあやふやだ。 「私を傍で支えて欲しい。」 「あ・・・」 思考速度はどんどん下降している。 真逆に走馬灯のように白哉との思い出が蘇る。 妻になっても共に居る時間が多少増えるだけではないか、と思った。 「いいよ。」 名はくすぐったそうに微笑んだ。 アイロニー 好き、なんて云ってあげない。 アトガキという名のいいわけ 幼馴染から夫婦へ。 ってないきなりの展開をイメージ。 Back |