あいうえおっと | ナノ

 ばーか。あんた、人のプリン勝手に食べないでよ! はあ?俺が食べたっていう証拠持ってきてよ!! マチとシズクがそういうんだもん!! あくまで証言でしょ!ボイスレコーダーでも持ってきたらいいんじゃないの!! はあ?マジ意味わかんない。もうあんたとは仕事しないから。 俺もごめんだね。

 シャルナークは携帯する他人の運命のアンテナを投げつけてきた。こっちだって負けてられるか、と具現化能力で銃を具現化して放つ。お互いに避けた。マジで意味わかんない。シャルナークなんて死んじゃえ。そう思って上に飛ぼうとしたらクロロに呼び止められる。
 マチも早く来なよ、というので仕方なくクロロのところに行くと横にシャルナークが居た。彼は口パクで死ねと言ってきたので私も消えろ、と言っといた。

「喧嘩をするのは構わないが、仕事のことだ。シャルナーク、ナマエ二人で行ってきてくれ」
「え?」「は?」
「二人だけだ。泊まり込みの仕事だが、すぐ終わるだろう」
「いやちょっと待って団長!シャルナークと二人なんて嫌なんだけど!!」
「俺も嫌だよ。こんなガサツで五月蠅いやつと一緒なんて!絶対に任務失敗するでしょ?」

 いや、そうでもないと思うぞ。クロロは落ち着いた口調で話し始める。マチは横で欠伸をしていた。どうしてシャルなんかと一緒なのだろうか。自分勝手なこいつと私、絶対に任務失敗するだろう。
 でも、昔はコンビを組んで二人でよく任務していたし相性は悪くはなかったはずなのだ。プリンが原因ではない。途中からよくわからなかったけど、たまに拗れて噛み合わなくなることがある。でも、平気だった時期もあったのだ。今は違う。なんでか拗れてしまった。
 でもお互いに謝る気はないのだ。謝っても意味がないことが分かっているから。

 クロロはどうやら私の能力を褒めてくれているらしい。想像したものを具現化させることができる。手に取ったものは完璧に具現化させられるという、最強に違いない能力をクロロは好いてくれていた。だからなのか、シャルも私の能力を好いてくれていた。すごい力だと褒めてくれた。

「文句は聞かない。二人で行って来い。出発は今日の0時だ。急いで準備をして来い」
「はーい。分かりました。」
「はぁ、最悪。よりによってナマエとだなんて、さ」
「悪かったわね」

 悪態をつきながら二人は二人は上に走った。
 マチはクロロに向けて溜息を吐いた。どうして団長はあんなことするの。マチは形の悪い歪な石の上に座った。クロロはくっ、と笑い声をあげたので町は奇妙な物でも見るような目でクロロを一瞥した。そして、クロロは遠くを見て一つ呟いた。あいつらの恋を応援したくてな、と。まさか、とマチは驚いた。
 団長はシャルナークとナマエの照れ隠しに気付いていたのか。お互い好きなくせにすれ違ってばかりの二人を。あたしもシズクもパクノダもみんな気付いているのに進展なしの二人を支えてあげようとしていたのに、まさか団長がやってくれるとはね。これなら別にかまわないかな。それにわざわざ泊まり込みの任務だなんてさ。二人が進展しすぎて行きすぎたらどうなるんでしょうね。あーあ、想像したら少し面白いかもしれないわね。

「ねえ、シャル。どうして私たち二人に任せたんだと思う?」
「さーね。俺にはわかんないよ。でも、噛み合わなかったらどうすんの」
「それこそ知らない。でも、シャルナークは護るから。旅団にシャルは必要でしょ」
「それなら、ナマエだって必要さ!!」

 お互いに顔を合わせた。シャルナークは団長が居ないときのまとめ役として、みんなに頼られている。私だって彼のことを頼っている。そうなんだけど…でも、まさか、シャルナークがそんなのこと言うなんて。

 ナマエは団長も言う通り旅団での戦闘力は一番高い。ウボォーの力には敵わないけど、武器性能とかで言うと誰よりも強いし、俊敏で頭もいい。敵に回したらひどいことにもなる。旅団の戦闘員では欠かせない人物なのだ。

 お互いに笑いあう。だって、悪態ついて喧嘩をしていたくせにお互いを必要としあっているということをお互いに言うのだから。
 結局二人は笑い合ってけんかをすることもなくなったのだが。




さぐるなら花を




 あんたたち、仲直りしたわけ? いや、まあ、ね。あはは。 シャルもナマエも素直じゃないんだから。 マチってば五月蝿いですよー。 はいはい、ごめんなさいね。じゃあ、ほら、仕事行ってきなさいよ。

 マチはめんどくさそうに手を振った。団長は仲直りして何よりとでもいうように笑った。そうだな、前にノブナガと喧嘩したら思いきり怒られたし。アジトを軽く壊してしまったからかなあ。ちゃんと謝ったら私は許してもらえたし。ノブナガは知らないけどさ。
 いつも通りの赤い服をシャルは着ていた。それって、血とか目立たないよね、と言うとじゃあ俺の着てみる、とにひひと笑った。別にいいやと断ればつまらなそうにそうか、とつぶやいた。

 早く行け。団長は厄介払いをするように言ったからむかついたのでそこにあった瓦礫を投げた。

「暴力的だなあナマエは」
「シャル、五月蝿い」
「ごめんってば。早く行こうよ。泊まり込みなんてめんどいし」
「そりゃ、そうだね。ああ、私のプリン食べたから帰りになんか奢ってね」
「それはやだ。というか俺じゃないってば」

 ほんとかなあ。ナマエは頭上にはてなを浮かべた。はいはいいいからね。シャルナークは背中を押してようやくアジトから出たのであった。

 団長からもらった紙を見て面倒くさい任務だなあとため息をつく。
 アジトに女を連れ込んではヤって、殺人したりだとか、いろんな人間を自分の団に入れ込んでだんだんと力をつけてる。俺たち幻影旅団のことも調べているみたいだし、俺達ってそこまで甘くないけどな。
 こんなまだちっぽけなところ。

 そういや団長はまずはナマエを囮にしろって言ってたな。
 なっかやだなそれ。ナマエが心配だし、相手の手が早かったらやばいじゃん。俺だって一気にナマエのとこまで行くには自動操作モードにしなくちゃいけないし。あれ反動やばいし。

「私が囮になるなんて、どうしようかな。囮ってつまらないじゃん。暴れられないしさ」
「そういう問題じゃないでしょ。俺は心配してるんだけどさ」
「あ、そーなの?うれしい」
「本当にそう思ってんの?思ってないでしょ」
「そんなことないよー。ありがと、ありがと」

 けらけら笑ってる。はあ、もっと自分の魅力に気づいたらいいのに。
 俺は悩む。喧嘩ばっかりするけど俺はあんたのこと大好きなんだよね。流星街に居る時からずっとさ。なのに、俺の気持ちには気づかないで。本当に困る。だから嫌なんだよ。こいつのこと好きだって理解すんの。自覚すんのだって恥ずかしいし。
 クロロに相談したら趣味悪いって言われたし。てか、プリン食べたの団長だよね。俺知ってるよ。マチとシズクとグルで俺とナマエをさっさとくっつけようとしてるの。

「じゃあ、囮よろしくね」
「任せてよ。あ、タイミングはこれで知らせるね。持ってるでしょ?」
「うん。そうだ。いってらっしゃいのキス、していいよね」
「は?」
「ちゅー」
「ぎゃあっ!?」

 真っ赤な顔をしていたので可愛い可愛いと頭を撫でる。もういい、と下に来ていた少しだけセクシーな黒い服を着て敵のアジトにもぐりこんだ。
 ああ、そういえば後に何件も任務続いてるから泊まり込みなんだよね。そうだ。襲っちゃえばいいのかな。


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