Thanks 820000HIT★
To.香さま




急用、今から来い。
なんて簡潔なメールを送ってから5分も経たずにやってきた忍足。



『別れた』

「え、なんでや」



目の前で驚く忍足に、私はフンと鼻で笑って続きを言った。
別れた理由、そんなのは簡単なことで、付き合っていた男に別の女がいただけのこと。
だからこっちから振ってやった。



「百音、一昨日くらいに俺にノロケてたやん」

『一昨日は一昨日』

「展開早ない?」

『仕方ないじゃん。アイツ、馬鹿そうな女とキスしてたんだもん』

「見たん!?」



一つ頷けば忍足はハァと溜息を漏らし、私の頭に手を乗せた。
そのままぐしゃぐしゃと頭をかき回されて、それに軽く抵抗するも叶わない。
大きな忍足の手から伝わる熱が、アイツを思い出させるようで、ちょっと胸が痛む。



「頑張ったな」

『別に、そろそろ潮時だったし』

「次は百音のことだけ見てくれる奴にしたらええよ」

『別に、そんなのいい』

「百音、泣いてもええんやで」



俺今、目にゴミ入って見えへんし。
下手な嘘をつく忍足が、私の頭の上に乗せていた手をグッと引き寄せて、自分の胸に私の顔を埋めさせる。



別れたってよかった。
潮時だったし、そこまで好きじゃなかったし。
そう、好きじゃ、なかった。



『っ、サイテー』

「・・・・」

『死ねば、いい、のにっ』

「・・・・」

『す、きだった、のに・・・・・っ!』



何も言わない忍足の胸が心地いい。
いつだっていろんなことを相談して、話を聞いてくれる忍足。
沢山心配もかけるけれど、きっと、いつか素敵な人を見つけるから。
そうしたらまた、私のノロケ話に付き合ってね。









  

(ノロケ話はええわ)
(忍足の意見なんて聞いてない)
(…もう暫く泣いとけや)
(何か言った?)
(いーえ、なーんも)






200900702
香さま/強気主で友情
(親友みたいな関係。ずっと変わらず恋に発展することはないです)

 
- ナノ -