「居た」



部活が終わるまで教室で待っているはずの百音がいなくて、目ぼしい箇所を探して数分。
普段なら足を踏み入れないような図書室に百音の姿はあった。
扉から見える百音の後姿にほっとしつつ、そっと近づけば聞こえるのは穏やかな寝息。



「勉強、してたのか」



もうすぐ始まるテスト対策なのか、広げられた教科書とノートで、その上に自分の腕を枕にして眠っていた。
所々ぐしゃりと塗りつぶされたノートを見る限り、あまり捗らなかったんだと思う。
寝息は穏やかなのに、何故か眉間には皺が寄っている。
なれない勉強なんかするから、きっと夢で数学と戦ってるんじゃないだろうか。
そんなファンシーなことを思ってみて、ふっと笑いがこみ上げる。



「お前なぁ、あんま頑張んなよ」



知恵熱でも出たらどうすんだ、そう言いながらそっと隣の席に腰を下ろす。
百音はきっと大丈夫だよ、なんてメール寄こしてくるんだろうけどさ、そしたら俺、部活に集中できねぇじゃん?
で、真田に怒られるんだぜ、きっと。それを赤也なんかに突っ込まれてさ。



「でも、ちょっとは勉強しろよぃ?」



一緒に卒業できないとかになったら困るし。まぁ、勉強できない俺が言うのもなんだけど。
たださ、俺、お前とは笑って一緒に卒業してぇじゃん。



「なーんて、クセェか」



百音の頭に手を置いて、くしゃりと撫でる。
その手に擦り寄る百音が可愛くて、猫みたいだなぁ、なんて思う。
今度の休みは一緒に勉強でもしようぜ。きっと、勉強どころじゃなくなっちゃうと思うけど。
とか、そんなこと言ったら百音は顔を真っ赤にするんだろうな。
とりあえずは、数時間ぶりに百音の声が聞きたいから、そっと耳元に顔を寄せて呟く目覚めの言葉。



「おはよう、百音」




mellowly
(驚いた百音を、してやったりと抱きしめた)




20110606
ゆーちゃんのツイッターでの呟きをわたしなりに文章に組み立ててみました。
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