5周年フリリク
to.さやさん




私の彼氏はジェントルマンだ。
平々凡々な私にでさえ、彼はまるでお嬢様に接するかのような態度なのだ。
今だって、車道側を歩いていて、車が通る時はさり気なく私のほうへと寄ってくれる。
扉を開ける時も、エスカレーターに乗るときも、混んでいる電車内でも、如何なる時でも彼はエスコートを欠かさない。
それに不満を感じることはないし、そんな優しいところも大好きなのでいい。



の、だが。



「あ、すみません・・・ありがとうございます」

「いえ」



それが私にだけじゃない、ってところがネックなわけで。



「お待たせしました。・・・百音?どうかしましたか?」

『いや、なんでも』

「そうですか?」



だけど、それをわかってないから困っちゃうよね。
こんな私だって一応は"ワタシダケニヤサシクシテ"なんていう願望があるわけで、だけど直接口に出せないから黙っておく。
友達は言えばいいのに、って言ってるけどね。



疑わしそうに私を見てくる比呂くんに、私はふふっと笑みを浮かべる。
今、比呂くんの頭の中はきっと私でいっぱいなんだろうな。
そんな風に思うことで、ちょっとした優越感を味わって、心が満たされていく。



『なんでもないって!ほら、早くクレープ食べに行こうよ』

「っ百音!走ると危ないですよ!」



ちょこっと駆け足をして先を行けば、慌てて比呂くんが寄って来る。
そんな比呂くんは、するっと私の手を掬い上げた。
少しズレた眼鏡を直して、行きましょうか、と掬われた手が握られれば、ほらまた心が満たされる。
少し暖かくなり始めた3月の風が、私と比呂くんの背中をそっと押す。



「もう春はすぐそこですね」

『お花見したいね』

「百音の手作りのお弁当、期待してますよ」

『その前に、まずはクレープ!』

「えぇ、行きましょう」









(この手は誰のものでもない、私のもの。なんてね。)






20110401
さやさん、大分遅くなりまして申し訳ございません。
柳生さんか若様とのリクエストでしたので、ここはまさかの柳生さんで行かせて頂きました!
似非なような気もしますが、そこは愛の力で柳生だと思ってください←
ほのぼの放課後デートということでしたが、そんな雰囲気は出ていますでしょうか?
もし訂正などありましたらおっしゃって下さいね><!
フリリク、ありがとうございました!また機会があればリクして下さい★

 
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