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To.直子さま青学生の私と、氷帝生の彼氏である侑ちゃん。
青学テニス部マネージャーの私と、氷帝テニス部部員の侑ちゃん。
共に全国レベル並みの学校なので練習量も多く、なかなかデートできない毎日。
やっと休みが重なって、久しぶりの楽しいデート。
なのにちっとも楽しくない!
「うっそー侑士じゃーん!」
「マジでー?うっわ、マジ侑士じゃん!」
とかなんとか騒いでる女の子たちのせいなんですけどね。
なんて、空を仰ぎながら思う。
さっきから街を歩けば、忍足くんだー、とか、あれ?忍足?、とか。
声かけられるたびに立ち止まって、侑ちゃんは愛想振りまいて、また歩いて止まって!
ぜんっぜん2人きりの楽しいデートって雰囲気じゃない!
しかも今度のはギャルだし、侑士って呼び捨てだし、仲良さげだし!
「っつーか何してんのー?会うとかビックリなんだけど!」
「超奇遇ってゆーかー?」
一昔前のギャルみたいな口調に内心イライラ。
女の子たちの視界には侑ちゃんしか映ってないみたいで、まるで私の存在は無視。
侑ちゃんも侑ちゃんで私のことほっといてるし。
折角のデートなんだよ?
久々のデートなんだよ?
そう思ったら頭の中がグルグルして、わけわかんなくなって、寂しくなって。
私以外の女の子に、しかも仲良さげな女の子に呼び捨てされてて、楽しそうに笑って、私のことなんて知らないみたいに。
もうどうすることも出来ずに、黙ってその場から立ち去る。
チラッと後を振り返ったけど侑ちゃんは追いかけても来なかった。
私のこと、忘れてるのかな。
『侑ちゃんのバカ!バーカ!』
なんか気がついたら人気のない公園。
とりあえず叫んで気を紛らわそうとするけど、胸の中の気持ちは収まってくれそうにない。
寂しい気持ちと、悲しい気持ちと、女の子たちへの嫉妬心。
私だけの侑ちゃんなのに、なんて思ってしまう私はすごく醜い。
『侑ちゃんの、ばか・・・』
それで、私もバカ。
侑ちゃんに黙っていなくなったりとか、そんなの最低だよね。
まだあの女の子たちと喋ってるのかな?
私が居なくなったこと、気付いてくれたかな?
気付いて、探してくれてるかな?
呆れて帰っちゃってたら、どうしよう・・・
「百音ー!?百音おらんのー!?」
『あ、』
「百音!」
聞こえた侑ちゃんの声にドキリ。
振り向けば、額に大粒の汗が光る侑ちゃんの姿。
「百音、心配したんやで?」
『ゆ、ちゃ・・・』
「百音の姿見えんくなって焦ったんやで?」
『でも、だって、』
探してくれた嬉しさと、でもさっきまでの胸の中のモヤモヤが合わさって、視界が霞む。
そんな私に気付いたのか、侑ちゃんが私に近づいて優しく頬を撫でた。
その途端ボロボロと零れる涙。
「泣かんでもええよ」
『だ、って。ゆ、ちゃん、おんなのこ、と、ばっかりで・・・っ』
「うん。俺も断ったらよかったな」
『わた、し、のこと、わすれ、ちゃ、ったんじゃ、ないかって、』
「そんなことない。俺、ニコニコやっただろうけど内心イライラしてたんやで?」
『な、で?』
「なんでって、そんなん折角の百音とのデート、邪魔されまくりだからやん」
そう言って、涙が零れる私の目尻を拭ってくれる。
涙腺が壊れたんじゃないかってくらいの私に、侑ちゃんがにこっり笑んだ。
「百音、ヤキモチ妬いたん?」
『そ、だよ』
「あーもう。かわええなぁ百音は」
泣きじゃくる私を侑ちゃんは優しく抱きしめてくれた。
小さい子にする見たく頭を撫でられて、ヤキモチ妬きの姫さんやなぁ、なんて言われて。
からかわれたような言い方だけど、侑ちゃんの声が甘くて違うんだと分かる。
「デート、仕切り直ししよか?」
『うん!』
もう一度涙を拭われて、それから手を差し伸ばされる。
その手に私の手を重ねれば、ギュッと握られた。
私の隣を歩く侑ちゃんの横顔を見上げて、さっきまで泣いていたのが嘘のように、私は思いっきり笑った。
てのひらから
しあわせ
(どんなことがあっても、君と手を繋げば幸せに変わる!)
20090224
キリバン800000HITリクエスト
直子さま/同い年の彼女でヤキモチ
(なんか久しぶりに可愛らしい感じの女の子を書いた気がします*笑)