明良に勝手に捧ぐ!
─Happy Birthday─







『なぁ謙也、明日遊園地行かへん?』

「行かん」



1秒も間を空けずに、デートのお誘いをアッサリ断った謙也。
なんやねんコイツ、なんて思いつつもなんとしてでも行きたいのでお口にチャック。
彼女のお願いを叶えるんが彼氏の役目やないんか!



『えーやん。ここ行きたかったとこなんやで』

「行かんもんは行かん」

『なんでや!』

「なんでもや!」

『理由ちゃんと言わんと納得せぇへんわ!』



繰り広げられるカップルの痴話喧嘩。
周りの視線なんて気にせん。
やって行きたいんやもん、あの遊園地に謙也と行くん、めっちゃ楽しみにしてたんや!
何が何でも謙也の首を縦に振らせたるで!



「そんなに行きたいんやったら百音一人で行けや!」

『あほ!一人で遊園地ってただの寂しい奴やんか!』

「やったら他の奴と行け!」

『カチーン!何やの、謙也はあたしが他の人と行ってもえーの?』

「ふんっ行けや!」



謙也の心無い言葉にさすがのあたしもグッと奥歯を噛む。
そんなに嫌がんなくてもええやん。
他の人となんか行ったって意味ないやん。
あたしは謙也とだから行きたいんやで、なんでその気持ちをわかってくれへんの?



『わかった』

「百音?」

『あたしが蔵と仲良う腰に腕回して歩いたり、クレープとか食べさせ合うて、あまつさえ観覧車でイチャイチャしてもええっちゅーことやな!』

「なんでそんな話になんねん!」

『他の奴と行けってゆーたやん』

「それとイチャイチャの何がどう関係あんねん」



なんやコイツ。
あたしがここまでゆーてもわからんなんてほんまもんのあほちゃうの!?
一緒に行きたいって必死になんのも、腰に腕回して歩くのも、クレープ食べさせ合うのも、観覧車でイチャイチャするのも全部全部ぜーんぶっ!



『謙也としたいことゆーてみただけやこのどあほ!』



あたしのなけなしの乙女心やのに。
彼氏ならそんな彼女に気づくべきやろ。
しかも、なんで明日なのかちっとも考えてないやろ!
そんなんあたしの彼氏失格にさすで!



『せやけどもうええわ。あたし、蔵と遊園地行く』

「あかん!」

『やって謙也行ってくれへんのやろ。せやから蔵と行って楽しむわ』

「あかんっちゅーとるやろ!」

『うっさいあほ!ばか!鈍感!へたれ!』

「なっ!そこまで言わんでもええやろが!」

『やってあたし明日誕生日なんやもん!』



謙也の目が点になる。
人ってほんまに驚いた時って目が点になるんやね。
とか冷静に謙也観察してるあたしがいるんやけど、その間も謙也は固まって動かない。



「なんでそれをはよ言わんのや!」

『むしろなんで謙也は覚えてないんや!』

「うっ・・・」

『前日になってもなかなか遊びに誘ってくれへんから、せやから悲しいけどあたしから誘ってみたのに』

「・・・・・・すまん。ほんま堪忍してや百音」



さっきとは打って変わって落ち込む謙也。
そんな姿をみたら、不機嫌が嘘のように去っていく。
(こうべ)を垂れて落ち込む謙也にじりじりとにじり寄って、その明るい色した髪をぐしゃぐしゃ弄る。
パッと顔を上げた謙也に、あたしはニコッと笑ってやった。



「百音?」

『明日、晴れるとええね』

「!」

『あたしお弁当作るから、謙也楽しみにしててな』

「ほんならお弁当食べさせ合いっこしよな!」



笑い合うあたしと謙也。
うん、やっぱりあたしたちは喧嘩してるよりも仲良うしてるほうがええな。
クラスのみんなも"よっバカップル"なんてからかいの言葉を投げてくる。
その言葉に、2人顔見合わせて笑って、バカップルらしくピースしたった。








Loving Every Day
(ってか、何で最初遊園地行きたなかったん?)
(・・・大した理由やない)
(百音、謙也って待ち時間が苦手らしいで)
(浪速のスピードスターはのろいのに耐えられへん!らしいで)
(何ソレくっだらな!)
(ガーン)






20100301
明良ー遅れてごめんね><
愛は込めまくったけど、楼兎に謙也さんはハードル高いっス(´;ω;`)
ペアプリの放課後の王子様に侑ちゃんから謙也さんへの写メネタがあって、それに遊園地の待ち時間があったから思わずネタに*笑
来年も明良の誕生日を祝いたい楼兎から、愛を込めて勝手に捧げます!
明良ラブー!!

 
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