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To.美里さま






「いいじゃねぇか」



後は壁、前は跡部先輩。
まるで窮地に立たされたかのような現状に、私は到底困っていた。



『あ、跡部先輩困りますっ!私、仕事しなくちゃいけないですし』

「あーん?仕事なんて他のマネージャーにやらせてればいいんだよ」

『そ、それに私には侑士先輩が』

「忍足?俺のが百音を幸せに出来ると思うぜ?」



そう言う跡部先輩の顔が恐ろしいくらいカッコ良い。
彼氏が居る私でも思わずクラッときてしまいそうだけど、そこは気合で乗り切る。
周りで活動している日吉くんや宍戸先輩に助けを求めるもそ知らぬ顔。
頼みの綱の侑士先輩はHRが延びたのか、まだ姿を現さない。



「な、百音?」

『(うわーん、侑士せんぱぁーい)』



もう半泣きの私。
若干目の前が滲んでき始めた。



「コーレ、何してんねや跡部」



その直後、跡部先輩の脳天にチョップ。
驚きに頭を押さえる跡部先輩が眼に映ったところで、視界が一転。
気付けば目の前には大きな背中で、侑士先輩の後ろに居るのだとすぐにわかった。



『(助けてくれた!)』

「俺様が何をしようと勝手だろうが」

「百音は俺の彼女なんやから手ぇ出したらアカン言うてるやろ」



侑士先輩が助けてくれたことに感動している間にいつの間にか話はついたらしく、跡部先輩がチッと舌打ちしながら去って行く。
それをぼんやり見ていたらいきなり腕を引かれ、私は跡部先輩が歩む方向とは反対側に連れて行かれた。



「百音ー跡部には気をつけろって言うたやろー」

『でも、部活で顔合わせるんですし、気をつけるのって意外と難しいんですよー?』

「だからって迫られたらアカンやん」

『ちゃんと私には侑士先輩がいるって言ってますよ!』

「そんなんで跡部が諦めるわけないんやって」



両手をギュッと掴まれ小さい子に言うように、なぁ?と首を傾けられる。
でもでも、と反論しようとするけれど、結構毎回のことなのでグッと口を結ぶ。



「俺から離れたらアカンよ?」

『今日は侑士先輩が遅かったじゃないですか!』

「今度から、な?」



そう言って私の額にチュッと口付け。
一気に顔に熱が集まるのがわかって、思わず俯く。
学校でなんていつ誰に見られるかわからないのに!



「百音は、俺だけの大事な大事な彼女やからな」

『・・・・・・・・・はい』

「跡部になんて渡さんで」



学校でのキスは誰に見られるか分からないから恥ずかしい。
でも、私のことを大事に、大切にしてくれる侑士先輩が大好きだから、ちょっとだけ勇気を出してみる。



『私だって、侑士先輩が好きなので、跡部先輩のところになんて行きません』



そう言って、少し背伸び。
そのまま侑士先輩の頬に口付ければ、侑士先輩の優しい笑顔が返ってきた。







(すきです、すきです、きみだけを。)






20090207
キリバン780000HITリクエスト
美里さま/後輩マネージャーで彼女
(甘く、そして美里さまの理想に近づけたでしょうか?)

 
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