「さーさーのーはーさーらさらー」

『もう七夕は終わっちゃったよ?』



楽しげに歌うジローにそう告げれば、いーの!とにこにこ笑顔。
可愛いなぁ、なんて思いながらそっか、と私も笑う。



「ねぇねぇ、百音ちゃんは七夕の時、短冊になんて書いたの?」

『私?ふふ、内緒』

「Aー!教えてよー!」

『ジローは?短冊になんて書いたの?』




ちょっと頬を膨らませたジローに逆に問えば、俺はねー、と一層にこにこ。
あのね、えー、どうしよっかなぁー。
そんな子供みたいなジローにキュンと胸が疼く。



「百音ちゃんと、ずーっと手を繋いでいれますよーにって」

『手?』

「そう!百音ちゃんと手を繋げるのは俺だけだからねっ!」



繋いでいる手をギューと握るジロー。
ジローの短冊へのお願いに私の頬も緩んで、締まりなく目尻が下がる。



『ジローの手、離さないよ』

「あったりまえだCー!」



暗闇に、キラキラと光の粒が浮かぶ。
決して美しいとは言えない都会の夜空だけれど、ジローと歩けばなんだか変わる気がする。
ジローと居るだけで、私の世界はキラキラ輝いてるんだよ。



「あっ!百音ちゃん!流れ星!」

『え、どこ?』

「いまっそこを流れたんだよ!」

『ほんとに?』

「ほんとだCー!」



嘘じゃないよ、ほんとだよ、と慌てるジロー。
その後で、お祈りし忘れちゃった、なんて今度は悲しそうに項垂れる。



『じゃあ、私に祈って』

「百音ちゃんに?」

『うん、ジローのお祈り、叶えれるかもよ?』



パッと笑顔を浮かべるジローは、私にとってのお星さま。










20090714
流れ星に願いを

 
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