『日吉くん、そろそろ私と付き合う気になった?』



隣の隣のそのまた隣のクラスの日吉くん。
クラス数の多い氷帝だから知り合う人数も限られるし、ついこの前まで知らなかった。
(テニス部期待の星らしい日吉くんは意外と有名だったらしいけれど)



運命の出会いをつい1週間前にして、それから私は彼にゾッコンだ。
ゾッコンが死語だって知ってるけれど、そういわずにはいられないから仕方ない。
それ以来、私は日吉くんに猛アタックしている。
・・・・・・・・が、報われないこの恋心。



「断る」

『今付き合ってる人いないんでしょ?ならよくない?』

「断る」

『もうそれ聞き飽きたから却下』

「拒否」



日吉くんのクラスに休み時間毎に通ってその愛を訴えているのに、日吉くんは私のほうさえ向いてくれない。
それが悔しくて、今度は日吉くんの両頬を手の平で包んで、グイッと私のほうに向かせる。
日吉くんってホッペ柔らかいなーなんて心の中で思いながら。



「止めろ」



ピシャリと払われた手が無意味に宙に浮いた。
行き場のなくなった手を数回ニギニギしてから、エイッと人差し指だけを伸ばす。



「・・・・・・一瀬」

『日吉くんって以外にマシュマロホッペなんだね』



額に青筋を浮かべそうな日吉くんに構わず、さらにぷすぷすと人差し指でつつく。



「一瀬」

『何?』

「いい加減、俺も怒るぞ」

『日吉くんに怒られたら本望だよ』

「馬鹿か」



ほんとだよ、って日吉くんに向って笑いかける。
日吉くんが私のことを気にかけてくれるってだけで、それだけ嬉しいから。
私のことを一瞬でも考えて、それで怒るなら、こんなに幸せなことってないでしょ?



「一瀬、馬鹿だろ」

『うん。日吉くん大好きだよ』

「・・・・・馬鹿だ」






鹿


(俺に迷惑かけるなよ、とそっぽを向いて言った君にキュン)





20090523
ツンデレ意識で作成

 
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