(ニオちゃん×男の子)
『まさくん、まさくん』
「なんじゃ万里」
『あのね、今日がまさくんのおたんじょーびってほんとう?』
寒さで鼻の頭を赤くして、白い息を吐きながら問う万里。 そんな万里にそうじゃよ、と告げれば途端にシュンと曇る表情。
「それがどうかしたん?」
『まさくん』
「うん?」
『あのね、ぼくね、プレゼント・・・よういしてないの』
なんだそんなこと、と思いつつも口には出さない。 俺にとっては"そんなこと"でも、万里にとっては一大事に違いない。
「今日知ったんじゃ仕方なかよ」
『でも、まさくんのおたんじょうびなのに』
仕舞いにはジワリと瞳に涙を潤ませる万里。 笑った顔もいいが泣き顔もなかなかじゃのう、なんてその場にそぐわない心情。 年下の、しかも自分から見たらかなり子供で尚且つ男である万里に対してこんな感情。 俺は何処まで歪んでるんだか。
「今すぐ用意できるプレゼント、あるんじゃけど」
歪んだ感情を持った俺が思いついた、クダラナイこと。 それなのに万里はパッと顔をあげて、ほんとう?とぐずぐず鼻を鳴らしながら言った。 だから俺も本当じゃと一言。
『それってなぁに?ぼく、よういできる?』
「簡単じゃよ」
『おしえて、おしえてっ!』
嬉しそうな顔でニッコリと笑む万里。 純真無垢という言葉が似合うこの少年は、本当に単純で可愛い。
「ここに、チュッとしてくれればよかよ」
『ちゅう?』
「ホッペにチュー。簡単じゃろ?」
思いついたクダラナイこと。 一通り遊んで入る俺にとって、ホッペにチューなんてガキじゃあるまいしと思う。 が、万里はまだガキじゃ。 それくらいが妥当じゃろう。
『ちゅってしたら、まさくんうれしい?』
「嬉しい」
『なら、する!』
両手をグッと握る万里にさぁどうぞと目を瞑って右頬を差し出す。 それを合図に万里が動く気配がして、それから――――。
「そこ、ホッペじゃなかよ」
『あのね、ママがいってたよ!だいすきなひとへのちゅうはおくちにするのよ、って』
「いやそれはのう、」
『ぼくね、まさくんだいすきだから、おくちにちゅうしたの』
まさくんうれしい?って何も知らない万里が笑顔で俺を見る。 唇へのキスと言ってもまだキスとは呼べない、それこそ万里の言う"ちゅう"と呼ぶに相応しいモノだった。 けれど、それでも俺は。
「今まででいちばん嬉しいプレゼントじゃよ」
お返しに、と俺も万里の唇に"ちゅう"を返す。 それから大好きじゃよと告げてやれば、嬉しそうに笑うから、こんなのもたまには悪くないと思った。
仁王雅治、危ない道に走りそうな15の誕生日・・・なんて、な。
ニオちゃんハピバ!
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