(侑ちゃん×女の子)
『ゆーにぃのばかっ』
「こーら万里、そない簡単に人のこと馬鹿って言うたらあかんやろ」
『しらない!ゆーにぃがいけないんやもん。万里がわるいんやないもん!』
そう言いながら精一杯腕を伸ばして、俺のお腹をポカポカと叩く妹の万里。 かわええかわええと愛でまくってる万里は、ツンツンとちょっと素直やない。 俺の言うことにいちゃもんつけるのが最近のハヤリ(?)で、まぁそんなところもかわええなぁなんて思ってるわけなんやけど・・・
『ゆーにぃのばかばかきらい!もうしんじゃえ!』
これはもう言いすぎちゃうか、と思うわけですよ。 かわええ妹やけど、人に簡単に"死んじゃえ"なんて言う子に育てた覚えはない。 (いや、まぁ俺やなくてオカンとオトンが主に育ててるんやけど) なのでこういう時は、兄なりのお仕置きをせなあかんやろ、うんうん。
「万里」
『しらない!』
「万里、ええの?」
『しらないったら!』
「俺、死んでもええの?」
『・・・・え?』
「大好きな万里に"しんじゃえ"なんて言われたら、もう俺は死ぬしかないで」
俺の発言に最初は耳を傾けなかった万里も、俺の死ぬという言葉にクリックリの瞳を大きくして驚く。 そしてその表情はだんだんと曇り、じんわりと涙が浮かんできている。
「さーあ、俺死んでしまお」
『ゆーに、』
「万里が言うたんやもんなー"しんじゃえ"って」
『ゆ、に・・・』
おーおー後一歩や。 ちょっとかわいそうな気もするけど、お仕置きやからしゃーない。 これで自分の発言がイケナイものやったってわかるやろ。
「ほな、さいならな〜万里」
そう言って、万里に手を振る。 クルリと反転して万里の元から立ち去ろうとすれば、ドンと後ろに衝撃が。
『うあーん、いややいやや!ゆーにぃしんじゃいやや〜!!』
「せやかて万里が言うたんよ?」
『もぉいわへんから!』
「ほんまに?」
『ほんまにいわんもん』
「でもキライなんやろ?」
『きらいやない!すきやもん、万里、ゆーにぃすきやもんっ』
俺の背中(いや、尻?)にギュッとしがみついてわんわん泣き出す万里。 泣き声の合間にも"うそやで"とか、"ゆーにぃしなんといて"とか、"きらいやないで、めっちゃすきやで"とかその他諸々。 そんな言葉の数々に、そろそろ俺の頬も緩んでくる頃や。 この辺で勘弁しといたろか、とまた反転し直して抱きつく万里の頭を撫でてやる。
『ゆーにぃ、しなん?』
「ん。死なんよ」
『もう、おこってない?』
「怒ってないで」
『・・・・万里のこと、すき?』
「めっちゃ好きやで」
万里の両脇に手を挟んで、抱っこの体勢へ。 泣いて赤くなった目元をそっと拭ってやれば、俺の首筋に顔をうずめてグリグリ。 俺を放さないかのようにギュッとしがみつく万里を、かわええなぁと抱きしめ返した。 (よっしゃ、この後はデレッデレに甘やかしたるからなぁ、なんて思いながら)
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