(若様×男の子)








『若にーちゃん、だっこ!』



弟の万里が俺に向かって両腕をめいっぱい伸ばす。
短い手だなぁなんて心の中で思っていると、行動に起こさない俺に頬を膨らます万里。



「なぜ抱っこしなくちゃいけない」

『してほしいからだもん』

「だもんって万里・・・」

『だっこったらだっこ!』



仕舞いには泣き出しそうな万里。
それを見て、俺は頭をひと掻きしてやれやれと膝を折る。
男の癖してすぐに泣こうとするな、と叱ってもよかったが・・・まだ小さいしな。
と、自分に言い聞かせて万里の脇の下に手を差し込んだ。



『若にーちゃん、だっこしてくれるの?』

「ちょっとだけな」

『うん!』



よいしょと万里を胸に抱き上げる。
以前よりも少し重くなったことを実感して、小さいながらも成長しているんだなぁと親のように思う。



『えへへ〜』



抱っこされて何が嬉しいんだかわからないが、まぁ万里が笑っているからいいか。
相変わらず弟離れできていないけれど。
(こんな姿を向日さんやジローさんに見られたらからかわれそうだな・・・想像できるから嫌だ)