ポカポカ陽気の昼下がり、隣にいるのは大好きなナナシ。







〜芥川 慈朗の場合〜





3時間目の終了15分前。
現在地はお気に入りの屋上で、俺の隣にはスヤスヤと眠るナナシ。



「んーまだ眠いC〜」

『むー・・?じろぉ?』

「あ、ナナシ・・・・・眠いね〜」

『ん。ナナシも眠い』



芥川 ナナシ。
俺の双子の・・・・妹?
数秒の差だから、どっちが上か下か詳しくは知らない。
でもナナシのが甘えんぼだから、きっと俺のがお兄ちゃん。
それに、小さな時からナナシは自分のことをナナシって呼んでるし、中身も俺より子供っぽい。
中3になっても自分のことを名前で呼ぶなんておかしい、なんて思う人も居ると思うけど俺は別にいいと思う。
そうじゃなくたって、ナナシはナナシだしね。



「もう少し寝る?」

『むぅ?でもナナシ、今寝たらきっと起きれない』

「俺も起きれないC〜」

『じろも起きれないから、ナナシも寝れない』

「じゃー、俺起きてるからナナシ寝ていーよ?」



そう言うと安心したのか、ナナシは俺に擦り寄って目を瞑った。
暫くすると、ナナシからは規則的な寝息が聞こえてくる。



「・・・・・どうしよ〜・・・俺も眠くなってきたC〜」



ナナシの寝息を聞いてると、俺まで眠くなる。
きっと双子だから、どこかリンクしてるんだと思う。
子供の頃から片方が寝ればもう片方もすぐに寝るのよって、母さん言ってたし。



「いいや、寝ちゃおっと。きっと、誰かが、起こしに来てくれる、はず、だC〜」



大切な存在のナナシ。
切っても切れない、そんな繋がりをもった俺とナナシ。



『んぅー、じ、ろ・・・・』



うとうととまどろむ中、夢を見た。
大きな大きな雲の上でナナシと遊ぶ夢。
ふわふわの雲はヒツジみたいで、沢山のウサギがぴょんぴょん跳ねてる。
ヒツジ好きの俺とウサギ好きのナナシだから、きっと2人で同じ夢を見ているんだ。
おやすみ、ナナシ。





END_慈朗の場合
執筆日不明
再録20100307

チョタに続いて癒し系*