平凡 | ナノ

無駄なドキドキ [8/15]


次の日、自己嫌悪。

なんだあの態度、全然可愛くない。ファンクラブのお偉いさんが味方だってわかっているのに、どうしても上手くいかない。前言撤回!なんて気軽に言えないじゃない。


「何週間目だっけな、青りんごからのメール途絶えて」


最後に来たメールに目を通す。
やっぱり怒っているに違いない。しかしもう結構経っているわけで……ねちっこすぎる。いや、もしかしたら私とメールを送り合う関係が嫌になってしまった、とか。
そこまで考えてハッとして、かき消すように首を振った。ネガティブになり過ぎている。


「でもどうやって送ろう」


どうにか復活させたいと思うのだけど、私からはばっちり返信してしまっているし切り出し方が難しい。

やあ、夏休み始まったね!最近どうだい?


……いや、誰だよこれ。


打った文字を消す。テニス部問題も難しければ、青りんご問題も結構難しいことに今更ながら気づいた。何もう病みそうなんだけど。


「素直に相談してみるかぁ」



To:青りんご
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久しぶり。夏休み始まったね。
この前のメール、
怒らせたのなら謝ります

友達想いの青りんごには
私の判断は酷かったと思うから。


でね、相談なんだけど
学校生活の安全は保障されました
だけど今更前言撤回できない
会うと思ってもない事言っちゃう
どうしたらいいかな
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ピッ‥

送信されました、の文字に心臓ドキドキ。

本名も顔も知らない相手にこんな相談するなんて、正直重いかな。でも、知らないからこそできる相談でもあると思うし、どんな内容でもしっかり考えて返事をしてくれる青りんごを信じてる。



ブーッ、ブーッ

「!」


数時間後だった。携帯が振動したのは。
青りんごだろうか、そんな期待と不安を胸にメールの受信ボックスを開いた。


From:幸村精市
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やあ(^-^)

週末、近くの神社で祭りあるだろ
レギュラーで行く予定だから
柿原さんもおいで。
もちろん、カメラを持ってね
俺達の思い出作りに写真がほしい
だからカメラマンとして、ね。

これなら良いだろ?(^-^)
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「っドキドキ返せばかあああ!しかも顔文字がなんか無性にイライラする!」


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