平凡 | ナノ

質問すれば続くのです [22/26]


「んんん……眠い、」


日曜日の朝、もっと眠っていたいと思う身体に鞭を打ってベッドから抜け出す。小学生の頃はびっくりするくらい、日曜日の朝は早起きだったのに。特撮物が好きだったからかもしれない。目を擦りながら枕元に置いてある携帯に手を伸ばして、思い出す。


「そういえば青りんごからのメール返信してなかった」


危ない危ない、とメールボックスを開いて内容に目を通す。



From:青りんご
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俺か?
超イケメンに決まってんだろ!
てか、今更外見気になってんのか?

人間見た目より中身だ
て言ったのどこのどいつだっけ(笑)
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ああ、そういえば好みのタイプとかの話になって青りんごの外見をそれとなく聞いてみたんだ。ほんとに今更な質問だなおい。自分にそう突っ込みながら返信ボタンを押す。


To:青りんご
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自分で超イケメンとか笑える(笑)
別に気になったわけじゃないよ
なんとなく聞いてみただけー!

見た目より中身
うん、それは間違いないね。
そう考えるとね
最近身近に超イケメンがいることに
今更ながら気がついたんだけど!
顔もそれなりにイケメンなのだ!!
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「よし、送信っと」


……って、なんでジャッカルのことを話題に出してるんだか。まあいいや、実際気づいた、というか再認識させられたのだから。ナルシストな青りんごに自慢自慢!

そのまま携帯を握りしめたまま、リビングへと向かった。




「おはよー」

「あら、珍しく早いのね。どうしたの」

「勉強しなきゃだし、やっぱ生活リズム崩すのはいけないと思って!」

「いつまで続くか母さん見守ってるわね」


三日坊主で終わるに決まってる、という目だ。私だってやればできますよー、と口を尖らせながら言いテーブルに向かえば、目玉焼きと食パン、カフェオレといういつも通りの朝食が並べられていて。手を合わせて、いただきますを言い食べ始める。


「あ、おかあさーん」

「なに?」

「明日の朝はアレがいい」

「……アレじゃわからない」

「なんだっけ。ほらアレ、卵に浸してからフライパンで焼いて、シロップかけて食べるやつ」


「……ああ、アレね」



そっちこそ思い出せないんじゃん!
なにさ、「その年齢で忘れっぽいとか将来大変ねー」みたいな目で見てくれちゃって、失礼しちゃう!

しかし気になる、なんだっけな。



ブーッ、ブーッ

「あ、メール」


もぐもぐ咀嚼しながら携帯を開きメールを見れば、青りんごからで。相変わらず返信の速い奴だ。暇なのか。





From:青りんご
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ふーん。
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「はあ!?」

「また何かあるの?」

「いやごめん、なんでもない」


あまりの短文に困惑。今までこんな短くて素っ気ないメールは来たことなかった。しかも無駄に改行までして……まさかジャッカル自慢が気に障ったのか。あ、そうだ。


To:青りんご
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問題!
パンを卵で浸してから
フライパンで焼いて
シロップかけて食べる料理

一体なーんだ!
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「よし」


心の中でガッツポーズをした。
思いっきり話題が変わったわけだけれど、これでメールが続けられる。さすが私。


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