平凡 | ナノ

行き先は南の島 [5/26]


柿原志眞が丸井ブン太宅にお邪魔した!!


なんていうスクープは流れるわけもなく。
いつも通りに時間が過ぎていく学校生活がなんだかひどく懐かしいような気がした。最近は、朝行けば魔王が待ち構えているし、昼に廊下を歩けば美人や紳士に挨拶されるし、放課後帰ろうとすればなぜかわんこに出くわして笑顔振り撒いてくるし。

なのに今日は、未だクラスメートの苦労にしか会っていない。



「修学旅行って、先生気が早くない?」

「たしかに。行くの11月だよね」

「うん。班はどうしよっか、ま、志眞とあたしが離れるわけないけど」

「あと裕斗もいそうだし……おまけにジャッカルもいそう」

「イツメンだよね〜」


LHRで修学旅行の話題が出たのだ。
班は来週までに決めて、そこから各班で行動計画表を作ったりしなければならない。そう考えれば、今から準備するに越したことはないのか。

旅行場所は私立と言えども附属の高校ではちゃんと外国に行くから、中学では国内。ケチだなって思うけど、結局はお金払うのはこちらなのだった。


「沖縄行ってみたかったんだよー!」

「青い空、青い海!」

「写真なんか取り放題だよわくわく。あ、もしかしたら勝手に消えてるかも」

「あり得そうねそれ。やめてね」


本当にやめてほしいらしい。美佐の顔が真面目に怖い。ごめんなさい頑張ります。

11月の沖縄だからあったかいのかな。
ぼんやりとそんなことを考えれば、そういえばとある人物が思い浮かんだ。青りんごだ。彼も11月に修学旅行があるとか言っていたような気がした。場所は聞いてないけど、もし沖縄だったら(結構定番だし)会えちゃったりして。


「そうそう、私今ね、青りんごと新記録目指してるの」

「は、新記録?」

「いつまでメールが続くか」

「それって主に、あんたへの課題よね」

「あ、わかる?」


少しでも油断するとすぐ忘れちゃうんだよね。
だからメールが来たら、あとで返そうなんて考えずにすぐ返信!を心掛けている。たまに授業中にも来るから大変だよ……先生の目を盗んでメール返すの。授業が終わった後で、なんてしちゃった日には記録は途絶えるよ。

はあ、この頭どうにかしたい。


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