平凡 | ナノ

ベタな展開 [2/34]


「テニス部と一緒。」

「久本美佐さん?あなたさっき」

「えっ、テニス部いた!?名前全部見たけどテニス部所属の奴なんて……って、なんだジャッカルじゃん。大丈夫でしょ志眞」


嘘だぁ、と教室内を見渡す美佐の目に移り込んだのは色黒のスキンヘッド。

焦って損したよなんてヘラッと笑う彼女だけど、奴もれっきとしたテニス部だからね?
ああもう、できることならば今年は誰とも一緒にならずに1年間を静かに過ごして卒業を迎えたかった……それも、今となっちゃ叶わない夢だがな。


「くそー!ジャッカルあんた一緒なのかー!」

「はっ!?って、志眞じゃねえか」

「相変わらずのハゲめ。丁寧に剃り過ぎなんじゃボケ、ツルツルだよ羨ましい肌」

「ほ、褒めてんのかよそれ」


2年の時もジャッカルとは一緒だった。

ほんとは関わるつもりなんてなかったんだけど。最初の3ヶ月くらいは話すことも、目を合わすことも(器用に避けてました)しなかったのに、ある日突然……うんちゃらかんちゃらで仲良くなってしまいました!


あ、省略し過ぎ?

まあアレだよ。
話すと長いんだけど、私が廊下で大量のノートぶち撒いた時に拾ってくれて、一緒に運んでくれたのがジャッカルで、そっから話すように。終わり。なんてベタな展開だろうね、ははっ。



「おい志眞ー!なんで俺を置いてジャッカルんとこに来てんだよ!」

「あたしをこいつと二人にしないで!」

「私の勝手じゃん。ああ、ごめんね美佐」

「星沢も一緒のクラスなのか。久本もいるし……なんか、去年と変わりねえな、今年」


しおりを挟む