平凡 | ナノ

1年の始まり [1/34]


桜散る4月の初め。
4月だから桜満開にしとけよ、とか思うけど悲しきかな3月下旬がピークだった。って、そんな事情はどうでもよくて。

私はクラス発表されている掲示板の前に集まる人混みを、桜の木に寄りかかりながら人が少なくなるのを待っていた。あんなに急がなくても掲示板は逃げないし、クラスももう変更不可能なんだから落ち着けばいいのに……特に女子!


「志眞ー!クラス見て来たよ」

「マジか、サンキュ!で、どこだった?」

「I組だよ。素晴らしいことに男テニいない」

「きっ奇跡じゃん!3年間、いや去年は黒ハゲがいたがあのアイドル達から逃れられることができたなんて……わっほい」


後で見に行こうと思っていたのに、親友である久本美佐が見てくれたようだ。

そしてこの嬉しさ、うへへ、すっごい!
私はあの非凡な男子テニス部は好きじゃない……てか、冷静に見たり聞いたりしてると良い噂はあまり聞かないんだよね。




美佐と一緒に教室まで行く間に、


「やったぁ丸井くんと仁王くんと一緒!」
「ずるーい!」
「あたしは幸村くんと一緒だわ」
「3年間丸井くんと一緒なの、私。もしかして、これって運命かな!?」
「ルールはちゃんと守ってよね」


彼らと同じクラスになれた人達の歓喜の声。

なれなかった人達は悔しがる。
あれだよ、絶対抜け駆けってか、彼らと仲良くなった人を陰でイジメそうだよね、怖い!



ガラッ

「志眞ーっ!待ってたぜ!!」


バシンッ

「あれ、ドア閉まった。ちょ、なんで?」



ドアを開けて、その瞬間に見えたものを隠したくてドアを思いっ切り閉めて。

くそ、ガタガタうるさい!開けようとするな!
てかこれ、軽くホラーみたいなんですけど!?



「なんでアレいること言わなかった!?」

「ごめん。不登校になるかと思って」


「誰がなるか!」


はあ、とため息をつきドアを押さえる力を弱めればガラッと開き、そこには満面の笑みを浮かべた星沢裕斗がいた。私をストーカーする人物である。


「なあ志眞、残念だったな」

「え、なにが?」

「ほらおまえ、テニス部と一緒のクラスとか」




「……え、いま、なんて?」


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