理解者は、 [19/34]
「『いや、別に嫌ならいいんじゃね?』
ですよねー!いやあ、やっぱ私のことわかってくれるの青りんごだけだわ、マジ良い奴!」
ピピピと文字を打って返信ボタン。
もうすぐ1週間経ちそう。
これで罰ゲームから逃れられるー!と、起きていた身体を芝生の上に寝転がせる。うううん、気持ちいい!
ちなみにここは中庭。
放課後である今の時間帯は、中庭を通る人というのは少ないので、この時だけは私のお庭と化すのだ。
「……あ、」
真っ直ぐ上を見ていた視線をずらし横へと向けてみれば、小さなアリがどこからか取ってきたエサを持って一生懸命運んでいる姿が目に映った。
こういう自然って、好きだなあ。
パシャ、
「アリは可愛げあるよね」
これが蛾とか蜂とか……、カサカサ走り回る黒い奴だったら消え去れ!て思うけど。
はあ、想像しただけでも背筋が凍る。
顔をしかめつつ、再び顔を空へと向けて目を閉じて深呼吸。肺に空気がいっぱい入るように、ゆっくりと。
「おーい、志眞!」
……誰だこの声。いや、わかってる。
「なにジャッカルー」
「やっぱそこか」
「伝えたいことがあるなら早く言って。はい、10、9、‥」
中庭が見える廊下から声がかかる。
目を開ければ、2階の廊下に逆さまになったジャッカルと年上担当が映り込んだ。
「おまえ、国語のノート提出し忘れてるだろ」
「……あああっ!そうだった!」
たしか今日の16時までだったよね提出期限!
あっぶな、とガバッと起き上がり背中とかにくっついた芝生を払いながら、職員室へと向かうため走る。ジャッカルへのお礼も忘れず叫んで。
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