チュンチュン
「……にゃああ」
朝、目が覚めたら隣に雲雀くんはいなかった。
大きな欠伸をし、布団から出る。なんだ、寝れないとか思ってたのに案外熟睡できちゃったんだ、私。なんかちょっと複雑。
縁側をとぼとぼと歩いていれば、雲雀くんが私の餌を入れたお皿を持ってこちらに来た。
「なんだ、起きたの」
「にゃあ」
「はい、」
コト、と床に置かれたお皿には、夕飯と同じように豪勢なお刺身がいっぱいだった。
朝からこの量を食べれるだろうかと不安に思いながら食べ始めれば、雲雀くんはその場に腰を下ろして私を凝視してきた。この姿になってからよく見られることが増えた気がするけど……視線が気になって、とっても、食べずらい。
「ほんと、人間らしい猫だよね、ナマエ」
「……」
「昨晩も、」
「?」
そこまで言って、雲雀くんは言葉を続けるのをやめてしまった。なんでもないと言い、雲雀くんは空を仰ぐ。
ガツガツガツとご飯を食べ、そして私は、そんな雲雀くんに近寄って猫らしくしてみた。すりすりと彼の腕に擦り寄る。ああ、なんて猫らしいんだろう私。
でもね、心臓が破裂しそうだよ。
「フッ、急に猫らしくなった」
「にゃああ」
「動物だけだよ、僕が気を許せるのは」
ポツリと呟いたその言葉を聞いて、私はまたこの身体に嫉妬した。ずるい、猫のくせに雲雀くんに好かれて。
私だって、雲雀くんのこと好きなんだよ!
そんな想いを込めて、私は彼の腕に何度も何度もすりすりした。
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