みらくる | ナノ


雲雀くん家の飼い猫になりました。
名前はナマエ。たぶん、ヒバードみたく変なネーミングセンスではないと思われる。

歩く度に鳴る鈴の音には慣れないけど、雲雀くんに呼ばれるのは心地良かった。私が人間だと知ったらどう思うのだろう、急に冷めた目になったりするのかな。怖い。


「ナマエ、ご飯」

「にゃー……あ!?」

「なに?」


「…………」


不満そうに顔をしかめた雲雀くんに、顔をふるふる横に振りなんでもないと主張する。

いや、ほんとは言いたいことあります!
なんこれ豪華過ぎやしませんか。たかが猫のご飯でしょ、キャットフードでいいよね、なんかマグロとかサーモンとかお刺身が入ってるんですけど!?


猫の胃袋に、これ。……太らない?

ごくり、と唾液を飲み、雲雀くんが凝視してくる中、ご飯に口をつけた。まあ、キャットフードにされるよりは幾分マシなのかもしれない。そうだよ、人間が食べてるものを入れてくれてるんだもん、感謝しなきゃ!


「フッ」

「……!」


私の食べっぷりに満足したのか、雲雀くんは立ち上がりながら私の背中をひと撫でして自分の夕飯を食べに行った。

ぽてん。お尻を落として座る。
動物を相手にすると途端にスキンシップが激しくなるんだね、雲雀くん。



私、心臓が持ちそうにないよ。

だって、何度も言うけど私の心は人間!
あの雲雀くんに腰を触られたんだよ……本当に卒倒しちゃうくらいの出来事ですよ。


「……」



少しだけ、この身体の私に嫉妬した。