私は驚いた。目が飛び出るくらいには。
まず雲雀くんが移動中にずっと、私を抱き抱えていたのにも驚いたし恥ずかしかったけど、家に到着してあまりの驚きで毛が逆立った。
まさに、ザ・和風!
誰かからか雲雀くんの家はすごい大きいというのを聞いたことがあったけど、これほどとは思わなかった。
「ここが僕の家。庭は広い、ここから外に出なくても充分遊べるだろうから」
「……」
「道路に出るのは危ないから……まあ、猫だしそんなに危険なこともないか」
地面に下ろされ、まだ慣れない四本足で地を踏みしめる感覚を取り戻している最中、雲雀くんはそんな私の頭をひと撫でしてから立ち去った。
や、やっぱり小動物大好きなんだ!
後ろ姿を見つめ、新たな一面見れたなと感動しつつも、この魔法だか何だかが解けた後が怖いなと内心びくびくもしている。
とりあえず、庭を見て回ってみよう。
雲雀くんの家に入るなんて絶対にないと思ってたから、これは貴重だ。くんくん匂いを嗅ぎながら、庭を回る。
本当にすごい。ここはどこぞの旅館だろうかと疑ってしまうくらい。一体雲雀くんは何者なんだろう、学校でもほとんど応接室にいるみたいだから授業なんて受けてる姿は見たことないし……ていうか、彼は一体何歳なのだろう。
『野良猫!』
『え?』
『おまえ変わってるよね、ぼく見ても食べようとしないとか。ほんとに猫?』
『ヒバードだ』
私に話しかけてきた、黄色い鳥。ヒバード。猫になると動物の言葉がわかるのか……これはすごいと感動。でも今のヒバードの言葉、私は本物の猫じゃないから怒らないけど、ちゃんとした猫が聞いたらなんて思うのか。
『私、猫じゃないもん』
『は?』
『今朝起きたら、猫だった。ほんとは人間』
『……そうなの』
『うん。それで雲雀くんに拾われただけ』
『ヒバリのこと、知ってるんだ』
『私、並中生だから』
ふうん、と微妙な反応をするヒバードは誰かに似ている。ああ、雲雀くんだ。ペットは飼い主によく似ると言うけど、本当だったんだ。
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