短編 | ナノ


「あー、だりー」

「由布院くん、ちょっと議論しようか」

「はあ?議論?」


やだよめんどくさいじゃん、そういうのは熱史とやれば?なんて、もう一人の幼馴染の名前を挙げる由布院くん。
違うの、そうじゃないの、私はあなたと議論しなきゃいけないの。


「私はね、かっこよくて優しくてお勉強できて、将来はバリバリ仕事できているような人と結婚したいの」

「何そのテンプレートみたいな理想。それ、俺より熱史の方が当てはまってんじゃね?」

「そうね、当てはまるとしたらかっこいいところくらい。あと、山が当たればものすごい高得点叩き出す。でも、所詮は運任せだから信用ならない」


ははは言ってくれますねぇと乾いた笑みを零す彼。
ああ、ちなみに補足しておくと、私と由布院くんは現在進行形で付き合っています。


「だからわからないの。それなのに、私は由布院くんがずっとずっと好きなんだもの。結婚だって、あなたとしたい、と思うくらいには」

「……。」

「ちょっと、そこで無言にならないでよ。すごく恥ずかしいじゃない」


まるでこれじゃあ逆プロポーズ。まだまだ高校生な私たちだけど、結婚、なんて別にそう遠すぎることでもないわけで。


「あー、俺にそういうこと言っちゃうか。そっか、うん。……あーあ、なんでなまえってそうストレートに何でもかんでも俺に言えちゃうかなあ」


今までずっとテーブルにうつ伏せながら聞いていた姿勢を起き上がらせて、困ったように頭を掻く彼。
さすがに迷惑だっただろうか。幼馴染として長年一緒にいる仲だけど、実は掴みきれていない部分もたくさん。大体「めんどう」とか「何もしたくない」とか「あー」そういう反応ばかりだから曖昧なんだもの。


「つーか俺、将来の夢は寝て暮らすことだぜ?」

「知ってる」

「要するに、なまえにとったらお荷物ってわけ」

「うん。でも、由布院くんじゃないとって思う……なんでだろうね」


「ほんと。俺も、なんでだろうな。おまえに何か言われたら、たまには本気出すかって気分にはなる」


お互い、なんだかよくわからないことだらけらしい。
二人して小さく笑い合い、これからもほどほどに仲良くやってこう、なんて言葉を交わした。





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リハビリ作品
まさかのメインに扱う作品じゃない件について!
知らない方もいらっしゃいますよねすみません
防衛部の由布院くんでした〜アニメ知識のみです
彼は絶対本気出したらすごいと思ってます←