「あ、ねえ!桜、そろそろ満開になりそう!」
歩いてきた道をくるりと振り返り、空を指さし声をかける。
目深に白いキャップを被った男の子は、そんな私の声に足を止めて、眩しそうに空を見上げた。
「ああ、本当だ」
「でしょ!?あー、楽しみだなぁ、満開の桜!今年は気温が上がったり下がったりでいつ咲くのかわからなかったけど、今年は良い感じのタイミングかもね」
「別に咲いていようが散っていようがどうでもよくない?」
どうでもよくない!
ほんとわかってない。桜が満開で、心地良い風に桜が空を舞う中、新しい環境に立ち向かっていくなんて素晴らしいシチュエーションだと思うのに。
「なまえの持論はいいよ、聞き飽きた」
「むっ」
いつの間にか隣に立っていたリョーマは、すでに桜なんか見ていなくて。いつだって彼の頭の中にあるのはテニス。早く帰ってラケットを持ちたい!て目してるなあ、なんて思いながら見ていれば、バチリと視線が合った。
(そりゃあ、そうだよね)
「なに」
「んーん、なんでもない」
「あっそ」
紡がれる言葉が素っ気ないのもいつものこと。
4月からまた新しい学年で、クラス替えも当然あって。また同じクラスになれたらいいね、なんて言ったって、どうせ適当に返答してくるのもわかりきってるからどうにも言いにくい。
「なまえ」
「え、な、なに?」
「新学期もよろしく」
そんな言葉が出てくるとは思ってもみなかった。
ぽかんと口を開けたままの私を見るなり、なにその顔、バカみたい。と零しながら、少し上に上がっていたキャップを元の位置に戻してリョーマは歩を進めた。
その背を後押しするかのようにぶわっと強い風が吹き、目の前に咲き始めたばかりの桜が宙を舞う。
また、素敵な1年になるかもしれない。
----------
リハビリ作品
しかしなんだこれ本当にへたくそすぎて、意味が、わからない…(笑)
しばらくリハビリに短編にもならなそうなやつ書こう