こんなにお金をつぎ込んで、俺なりに愛を表現してるつもりなのに。それなのにっ… 「なんで俺の愛に応えてくれないのさ!」 「いや、無理だろ」 諭吉を五枚も使って手に入れた、着物とワンピースを足して二で割ったようなスタイルで、更にレースなどで飾り付けられた服。所謂"和ロリ"を俺が手渡したのと同時に、シズちゃんはビリビリと綺麗に引き裂いてくれた。 おかげで、厄介ながらも頑張ってやり遂げたこないだの仕事の報酬が一瞬で水の泡だ。 「高かったのに…」 「こんなの買う手前が悪い。だいたい、コスプレなんざしたくねぇって何度言えばわかるんだ手前はよ」 苛々が募ってきたらしく、胸元から煙草を取り出しつつシズちゃんは俺を睨み付ける。 そんな事言われても、見たいものは仕方がない。 ナース服なシズちゃんとかメイドさんなシズちゃん。 うさ耳、ネコ耳、わんわん雄…あぁどれも見たくて見たくて堪らない。 それなのにシズちゃんは、いつも「うぜぇ」だの「あ゙?」だのと言って簡単に引き裂いてしまう。 コスプレの服が安くで手に入るわけではない、ということをきちんと理解しているのだろうかこの怪物は、くそ可愛いんだよ犯すぞもう! 「…ダメかよ」 「…え?」 脳内でシズちゃんを押し倒してアンアン言わせていた俺は、耳に届いた呟きに慌てて顔を上げる。 あーだのうーだの散々唸った後、顔を真っ赤な顔で俺を見つめつつシズちゃんは再度口を開いた。 「そのままじゃ、ダメなのか?何かコスプレしてねぇ俺じゃ、嫌なのか…?」 自信なさ気に顔を俯かせたシズちゃんに、そんなはずはないと言いかけて漸く気付く。 会う度会う度にコスプレするようにと要求を繰り返し、ろくに抱きしめてやる事もしてなかった俺。 そんな俺に、ずっとシズちゃんは不安を感じていたのだ。 そのままの自分じゃ、駄目なのかと。 俯くシズちゃんに手を伸ばし、そのままぐぃと引き寄せて腕に納める。 シズちゃんが驚き目を見開くのにも構わず、俺は相手を抱きしめる腕の力を強めた。 「…ごめん。ごめんね、俺凄い馬鹿だった。メイド服とか和ロリなシズちゃんも素敵だけど…やっぱりそのまんまのシズちゃんが一番だよ」 耳元で囁かれた言葉にシズちゃんの顔がみるみる内に赤みを増していき、最終的には耳まで真っ赤に染まった。 ごめん。 再度俺が呟いたのと同時に、ふわりと背中が温かくなるのを感じた。 「…わかってくれたなら、それでいい」 俺の背中に腕を回し、甘えるように顔を埋めながら呟かれた言葉。 その言葉に自分の顔が熱を持ったのがわかった。 やっぱりそのままの君が1番好き (…でもいつかコスプレしたシズちゃんも見てみたいなぁ) |