妄想クライシス(創作)*NL
2014/01/12 21:57

図書室で大好きな本と戯れていたら、
気付けばもう外はもう綺麗な赤の
コントラストで。

神崎唯(かんざきゆい)、
いっつも、運動部の人たちとは
帰宅時間がかぶらないようにしてたのに
なんたる失態。

とか思ってたらあんまり会いたくない人に
出会った。


「…ゆいちゃん。」

「……!た、たか先輩ッ!」


幼なじみの
高村篤(たかむらあつし)。
通称、たか先輩。


私の、初恋の人。


ほんと、ありがちだよなぁとは
思うけど、好きなんだから、仕方ない。


堅実なバスケットプレーヤー、優男、
お兄さん、笑顔の貴公子etc.

彼女がいないあっくん曰く、
【いい人どまりなんだよなぁ】
らしいけれど、それは貴方が
そうさせてるんだよー、なんて。


「だぁーかーらー
たか先輩はやめろってば。」

ぷぅ、と口を膨らませて、
私を睨む。

流石に、もう私も高校生だから
あっくん、なんて呼べなくて。
(…いや、心の中じゃ呼んでるけども。)

ゆいちゃんって呼んでる貴方が憎いの。

「たか先輩も、ゆいちゃん、は
やめてください。」

バレたら絶対殺される。

女は怖い。

「嫌。」

…即答ですか、そうですか。

「じゃあ私もたか先輩呼びは
やめませんからねー!」

意地悪じゃなくて自己防衛。
本当は、篤って呼びたい、なんて。

ああ…とってもツラい。
五歳から好きだから。
私ってばすっごい乙女!まじ乙女…。

バカだよなぁ、私。
望みなんて1mmもないのに。

ただ、目の前の男、彼女つくらないからさ。

「…そういえば、さ。」

私からちら、と視線を外し、
話題もかえようとするあっくん。

むっちゃたどたどしい。

彼女できた、とかなら泣いて去ろう。

……勿論、
十年分の気持ちは吐露せずに、ね。

でもなぁ、
むっちゃ可愛い女の子があっくんと
ショッピングしてるとことかみたら
私、生き霊になっちゃうかも、なんて。

鈍男!だけはいってやろっかなぁ。

よし!そうしよう!

…に、しても喋らないな、あっくん。

「………。」

「………。」

無言、つらい。

……目の前の男は俯いてなんか
気恥ずかしくしてるしさ。

あっくんがぱっとこちらを見た。
…目、あったよ、がっちり。

ときがとまったみたい。

「…けーとがゆいに告白したって
ほんとう??」

…、……、は?

凄く、身に覚えのない言葉、。

…まぁ、前者よりも後者っていうか、
ゆいって!ゆいって!

呼び捨て…!?

…嬉しいなぁ。

「…ほんとなの?」

あ……質問に答えてなかった。

「そんな事実は何処にもないよ。
てゆうか、あるわけないじゃん。
私、モテないし…」

それに、ifだけど、私に告白した男、
たぶん頬に紅葉つけられるよ。
……あっくん以外。

「……、騙された。」

してやられたー、みたいな顔してる。

…ていうか、そんな嘘によく騙されたなぁ。

啓人くん、清楚な文学少女好きって
いってたじゃん、…結構前に。

「まぁ、変なのに騙されんなよ!」

ぐしゃぐしゃ、ぐしゃぐしゃ、
髪をひっかき回される。

大丈夫、大丈夫、貴方以外
私は好きにならないから。…大丈夫。
五歳の時からずっとそうなの。

あと、二年だね。


「…俺と、結婚するんだから。」


ツキン、心臓が痛くなった。


妄想クライシス


嬉しいのは増えてくのに、
寂しいのは無くならないの。

貴方が私以外を好きだったら、
貴方が無理をしているとしたら、
貴方が、貴方が、
私のせいで恋を叶えられないのなら、
私は悲しくてたまらないから。




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