あ、涙(創作)*BL
2014/11/29 20:47

幼馴染み的恋情-2-


鈴木悠太-suzuki yuta-

佐々木仗-sasaki jou-


悠太side―


「俺、……彼女、できた。」

頬を真っ赤に染めた親友
(俺が勝手に思ってるだけかもしれない、
それに俺が恋心を抱いている相手)は
そうやって俺に報告をした。

「……お、おめでとう…………。」

震える声でそう告げて、
心臓がギュッと痛くなる。

わかってたハズなのに、
いや、今まで彼女が出来なかったことが
不思議なくらないなのに……。

痛い。

「……悠太?」

仗さんの心配げな声が耳にはいる。

俺、しっかりしろ、俺……。
普通の、男子高校生みたいに、
例えば【俺も彼女欲しい】とか
【もしかしてお菓子くれた子か?】とか
そういうこと、そういうことでいい……。

そういうこと、でいいから。

涙だけは、でるな、絶対。

「仗さんに彼女できたら、
俺、昼とかぼっちじゃん。」

ちょっと泣きそうな顔で、眉を下げて、
多分、正解の言葉をもらす。
それにこれが今できる精一杯。

仗さん以外に俺は友達がいないから。

そうだよ、そうだ。
俺はきっと、それで寂しい。

「彼女って……どんな人?」

普通の質問。
普通の声、こんどはちゃんと震えていない。

可愛い人かな、綺麗な人かな。
仗さんに似合いそうなモデルみたいな人かな。

いい調子、いい調子。

繕って繕って、ほつれちゃったら
ちぎればいい。

いい調子、いい調子。

このまま自分の恋心を騙してしまおう。

「……後で、写真みせるから。」

流し目が格好よくて、ズルくて。

直ぐに普通の友達に戻れないだろうなぁって
そう思う。

「ゆーうーちゃんっ!」

「ひぃっ!?」

がって後ろからいきなり羽交い締めされる。

俺にこんなことをするのは1人しかいない。

「びっくりした?びっくりした?」

うざ男くんこと、
葉山 直樹-hayama naoki-
である。

決して友達ではない。

なぜなら、

「俺の声、好き?」

「っあ……!?」

こういうことを普通にやる
俺の不得意な分野の相手だからだ。

「やめろっていってるだろ?!」

「うん、知ってる。でもさ……、
バラされたくないんでしょ?」

「う、。」

高校では仗さん以外の友達を作ろう、
と頑張った。
頑張った、そう、その頑張った結果、
俺は葉山の罠にまんまと引っ掛かって、
仗さんが想い人だとバレたのだ。

うん、だから、
友達はもう要らない、って決めたんだ。

それから、葉山とは弱味を握られたような、
(いや弱味を握られたんだけど、信じたくない)
関係が続いている。

「今日はどうしたの?」

綺麗な顔をしたコイツがそう問いかける。

騙そうとしてもコイツは無理だ。
絶対にバレる。
もしくは騙されたフリをしてくれる。
妙に優しくて……ムカつく。

「仗さんに、彼女……できて。」

さっきからずっとひそひそ話。
仗さんにちゃんと謝ってからこういう話を
すべきだったのに。

仗さんは黙々ご飯食べてるし、
後で、謝れば大丈夫かな……うん。

「葉山……俺さ。」

悲しくて、涙がでそうなのに。

……お前の方がどうして泣きそうなんだよ。

「ヘラヘラ笑ってろって……。」

調子が狂う。なんなんだよ、葉山。

「気づけない?悠太くんは。」

……くすくす、くすくす、
仗さん方面から笑い声。
てゆうか、音源は仗さん。

【ドッキリ☆大成功】

綺麗な文字で、ルーズリーフに。
うん、……俺、泣く。

「え。え……!?」

あたふた、あたふた、慌てる仗さん。

「ほらみろ、こんなのやるもんじゃない。」

呆れる葉山。

知らない仗さんと
知ってる葉山。

「……うぅ。」

ずるい、ずるい。

俺、仗さんを諦めれないじゃないか。


不安、不満、加えて孤独


あと何年それに、耐えればいい?




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