ifごと(創作)*NL
2014/10/03 21:45

「ゆう!めしくおー!」

昼休み、3と4の間、
パン一個を腹におさめたハズなのに
既に腹の音をならす私。

ゆうのことは好きだけれど、
望みなんて欠片もないってわかっているから、
ゆうの親友になりたくて
私は今まで頑張ってきた。

「オ ン ナ ノ コ。」

ぽんっとゆうが私の頭を叩く。

もう、ゆうの中じゃあ、きっと女の子じゃないから、
なんて、言い訳する。

「いいのー。レンアイ対象外。」

ふふ、と自虐的に微笑む。

言ってて悲しいのは最初だけ。
あとは感覚が麻痺するのを待って、
それがきっと本当だと信じませる、自分に。

でも、やっぱり、少し、
悲しいかな、なんて。

じぅ、とスポーツゼリー飲料を
口に含みながら、ぼう、と窓の外をみる貴方が
とても格好よくて、好きだから。

あー、痛いよ、痛いよ、心臓。

恋って、痛いもの、でしょうか。

「あ、ゆういんじゃん!」

バレー部の光希が馬鹿みたいな(失言)雑誌をもって
ゆうに話しかける。

……今回はちゃんとしたファッション誌みたいだけど。

「どれ好み?」

なんてゆーか、ベタッベタの奴だなコイツ。

まあ、雑誌の子達は可愛くて、
夢をみるのは楽しいんだろうけど。

「私、この子!!」

ふわふわくるくる、長い髪を巻いて、
わたあめみたいな女の子を私は指差す。

「可愛いなぁ……。」

勿論、その可愛さにも驚いてしまうけど、
何よりびっくりするのはその子の右下にかかれた数字。

本物にあったら、私は女であることを、
きっと嫌になってしまうだろうな、なんて。

左側のページにはボーイッシュなんて文字が踊るけど、
そもそもつけている小物が可愛いし、
スタイルがいいからショーパンも綺麗にはえる。
何より、シャツがどことなく際どくって色気がある。

小物をつけずに、私が着たら、
もうそれは寝巻きに過ぎないだろう。

「お、はるさん、お目が高いじゃないっすかー。」

光希がそんなことをふざけてゆうから、
やっぱり、こーゆー子が人気あるんだ、と認識する。

で、やっぱり、ずきずきしてしまう、私の心。

「もし、こんな子が彼女だったらなー。」

光希が男子高校生らしい夢を語るのを
にまにまと私は聞いた。

ゆうは興味なさげに、光希の話をぼう、ときいていた。

「じゃあ、ゆうは?」

一通りデートプラン(?)を教えてくれた光希は、
そういってゆうに話をふった。

「はるが、髪のばしたらどうなるかな、って
考えてた、かな。」

的外れの解答に、ぶほ、と光希が吹き出す。

「俺の質問は今、なに考えてる?って意味じゃないから。
そしてそして、今、ここに髪が長かった頃の、
はるの写真がありますー!」

ぶんぶんっとスマホをふってどや顔する光希。
てか、髪が長かった頃の私の写真……だと?

「黒歴史さらすなぁぁ!」

がっ、と身を乗り出してスマホを
取り上げようとするが、時既に遅し。

ゆうの目前に繰り広げられる私の黒歴史。

「てゆうか、光希キモ!
私の幼少期の写真はいってるとかキモ!」

とりあえず、わめけるだけわめいて、
軽蔑しといてやった。

ゆうは、瞬きの回数を増やして、
言う言葉を考えているらしかった。

「かわいい。」

たった四文字。

ただそれだけ。

囁かれた言葉は瞬きの回数にみあった文字数では
ないけれど、お世辞でないことはよくわかった。

もしも。

もしも、私が髪をのばしたら
貴方のとなりを彼女として目指してもいいでしょうか、
なんて。

そんな戯れ言を誰にも言えなくて、
ぎゅう、心臓が痛くなる。

とりあえず、今は、

「ゆうの幼少期には絶対負ける気がするわ。」

このくらいの返事で事足りるに相違ない、よね?






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