左様なら。(創作)
2014/03/25 20:32


茶色が茶色でなくなった。

以来、茶色として慕われていた色は
チョコレート色と呼ばれた。

甘く、時とも飽和できそうな色の名の
裏にあるものといったら。

狡猾な王様は、いや、
王になりすましたあの偽善者は、
くるり、冠をひとまわりさせては、
臣民を嘲笑って
ムチでお打たれになるのだから。

紅玉のような線は、
そのうち、チョコレート色になるの。

私はあえて、カラメルと呼ぶわ。

そちらの方が、ええ、
とても美味しそうだもの。

白い肌にカラメルのせんがつつ、と。
まるでプリンのようでしょう。

きっと、シルクのような白い肌は
ムチで打たれるためにあるのね、
なんてバカげたことを考えた。

これじゃ、あの王様と変わらない。

そして、ね。
それとともに三時のおやつに
紅茶をのむの…。

確かに、あのカラメルの色が
茶色などと形容されることは
あってはならない。

けれど、嗚呼、
王様、あなたはお気づきにならない。

チョコレートのあの甘さの裏にある
狂気に、あなたはどっぷり
はまっていることを。


だから、私は。


カラメルと形容したのよ。
あの、砂糖をじっくり煮詰めた、あの色と。
あれなら、固めてべっこう飴にして。
母の優しさに浸ることができるから。







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