大抵の女の子は可愛いと言われれば、みんな嬉しいと感じていると思う。例に漏れず、私もその中の一人だが、同世代の女子のようにお世辞感覚で受け止めそれに礼を述べるなどということが私にはどうも苦手だった。

しかし、私にも可愛いと言ってくれる相手は居たものだから、そう言われる度に、「はあ、」とか「理解できない」とか返事をしていた。かなり、愛想の無い子だと思われていただろう。否、愛想をつかされても可笑しくは無かったのに、彼は全くそういうことはなくて、私が「理解できない」何て言うとニコニコと笑うのだ。

全くもって理解不能。否、お互いの関係というやつを念頭におけば、まったく可笑しくもなんとも無いのだ。けれど、その関係自体私は信じられていないし、幸せすぎるから夢物語のように感じてしまうくらいだ。さらに私はそういう甘言の類いが苦手だし更には素直でも無いしで、しかもパニックになると何言ってるのか自分でも理解できないし、最終手段のぶっきらぼうになる、で終わらせようとしてしまうのだ。

「かわいらしいなぁ」

ほうら今日もだ。頬を撫でてくるその手は優しくて、まるで猫を撫でているようだ。しかし私は嬉しいと感じると同時に警戒状態になる。だって怖いじゃないか。可愛いなんて世辞でも言えるのだ。

彼の愛情表現だと思えば良いのに、怖くてそれもできない。

「ん?」
「あ、……り、理解でき、ない」
「はは、ええよ、」

頬を撫でていた手は、リップクリームを塗り忘れたガサガサの唇を撫でた。

「リップクリーム塗らな、女なんやから、唇切れてまうぞ」

手は顎の下にあって、それはゆるゆると鎖骨に触れてきた。

「わ、わた、わた、」
「お?」
「かわいく、ない……!」
「ええよ、俺が知っとるからな、」

自信持ってくれてもええのになあ。と彼は笑う。

「だ、でも、でも、わたし、」
「ああ、言葉よりも行動で表して欲しいん?」
「は?ひょわぁ!」

気付かんと、すません

なんて笑って、噛みつくように唇を重ねてきた男の目は艶やかで、離れた薄い唇はテラテラと輝いていた。

「なんなら終いまでやろか?」


お互い、愛感じたいやろ?

110714
title*確かに愛を感じてる
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -