私は彼氏である廉造に首ったけ
誰もいない教室でいつもじゃれている
誰かに見られたくない。そんな私の気持ちを知っていてくれてか誰もいない教室でしかべたべたしない
「…あー、ええ匂い」
「ちょ、くすぐったいよー」
「だって落ち着くんや…この匂いを嗅ぐために、俺は生きているかもしれん」
「大袈裟すぎじゃない?」
「往生するわぁ…」
廉造は後ろから抱きついてきて私の首に顔をうずめて匂いを嗅ぐ
たまに鼻息が当たってくすぐたい
いつも通りの幸せなひととき
時間って簡単に過ぎてしまうから切なくて大切にしたい
すると廉造は顔を上げておもむろに立ち上がった
「…廉造?」
「あ、いや…その」
立ち上がったと思えば私の前に立ち、跪いて微笑んだ
一国の王子様みたいで格好良くて、少しだけ照れくささが入り混じった
「今日は新しい1ページを作りたいんやけど…」
「1ページって…ふふっ…なぁに?」
「後ろから抱きしめた後、匂いを嗅いで、そして、手を繋ぎながらお話をするんや」
「いつも通りだね。」
「だか、匂いを嗅いだ後、立ち上がってこうやって跪くから、よかったらなんやけど少し、目を閉じてくれへん?」
「…ん、いいよ」
彼が言うまま目を閉じる、だけど何も起こらなくて不安になって目を開けようとしたその時、唇になにか、柔らかいモノがあたる感覚があった
これは、はじめてのキスだよね
はじめてのキスはちょっと短くて物足りないくらいで、でも彼の始めてみる表情をみたら凄い満足だった
いつもお気楽なエロ魔神の私しか見れない、本当の照れた顔
耳まで真っ赤にして可愛かった
あぁ、幸せだ。彼のこんな顔を拝めて、記念の1ページが追加されたんだ
喜べずにはいられないよ
「廉造…」
「っ、あ〜、俺絶対顔赤い、あぁ、もう!君との秘密やな…」
「だねぇ」
「それに、かいらしい彼女の照れ顔見れて俺は、往生しますよ。そして、脳みそに焼け付けとかんと」
「え、ちょっ!やめてよーっ」
廉造と私は教室でじゃれる
喧嘩じゃないんだよ、じゃれているの。だって廉造も私も笑顔だよね
私を好きになってくれた彼が好き
私と君の物語はまだ始まったばかりだよ
そうだな、この物語に題名を付けるのならば…
(なんてどうかな?)
(ん、なんかあったん?)
(あ、ううんっ、なんでもないよ!)