を濡らす涙すら妬ましい





「泣くなや」

「うっさい、無理やそんなん」



形の整った眉が、ぐぐっと下を向く。
抱き寄せようと、肩に伸ばした手がぱしんと叩かれた。
伏せた長い睫毛に、涙が付いて綺麗だ。



「泣くほどのことやないやろ」



もう一度手を伸ばすと、むー、としかめ面をしながらも、今度は大人しく受け入れてくれたようで、俺の胸の中にぽすん、と埋まった。
慣れた匂いが、ふわりと香る。今まで何度も、抱きしめて来た感覚。

普段泣いたりしないこいつが、ぐすぐすと鼻を鳴らしながら涙を流す様子が心底愛しくて。
むしろ、こいつの柔らかな頬をつたう涙が、妬ましいほどに。俺かて、触れていたい。

柄にもなく、甘い言葉など、口を衝きそうになる。



「もう離してやらんからな」

「…柔造、ずるい」



伏せていた顔を急にあげるから、涙を溜めた目に吸い込まれそうになった。
頬の涙を拭って、ゆっくりキスをすると、唇の離れ際にこいつが笑いだした。



「あはは、普段そんなかっこええこと言わんやん」

「今日の為に用意してん」



何度もシュミレーションした。
けど、今まで何があっても絶対泣かなかったこいつが、涙を流すことだけは予定外だった。

笑って、泣いて、忙しいやつやなあ。
そんなお前とずっと一緒におりたい、なんて言ったら、また笑うんやろか。



重ねられた左手に、指を重ねた。薬指に、愛を通す。



「結婚しよか」






fin.



素敵企画『志摩うま』さんに提出させていただきました柔兄夢!
主催の片君様、読んでくださった皆様ありがとうございます。

短くてごめんなさい。
一見スマートでかっこいい柔兄が、プロポーズの練習とか、してたら、もう、幸せだなあと思って書きました^p^

普段BでLな小説ばっかり書いてるので、夢小説とかひっさしぶりすぎて!
片君様、提出遅れて申し訳ないです…!

これを機にまた夢書きたいぜ…どりーむ…いいね…!←





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