バイト先



女「はー……。バイトめんどいなー」 

電車を降りた学校の帰り道、毎回のように思う。 
午後5時、冬場というのもあり既に日は傾いている。 
いつも通り、駅からその日に向かって制服を来た長髪の少女は歩く。 

女(初めたばかりの頃はワクワクしたものだけど……) 

すでにコンビニでのバイトを始めて半年。 
学年もついこの間、1年から2年へと進級した。 

なんでもそうだが、始めた頃はなんだかんだ楽しめるものも、時間が経つと面倒臭さしか感じない。 

コンビニの前。 
見慣れた緑と青の看板に『familySHOP』の文字が光る。 

女(……あ、また、あの彼女連れの肉まんさんだ) 

フルフェイスのヘルメットを被り、バイクに跨っている男が店の前にいた。

四月ごろからよく店に女の人をバイクに乗せて店にくる男性。
毎日のように女の人に肉まんを買わせに来るので、バイト仲間のうちでは、『肉まん君』などと呼ばれていた。 

そんな男をチラチラみながら、裏口へと向かう。 

男友「また、あの人きたな」 

女友「肉まんの人ねー」 

案の定、中では肉まん男の話題。 

女「おはようございます」 

話に夢中になっている2人に声をかける。 

男友「あ、俺、あがりだわ!女ちゃんあと、よろしくー。お疲れー」 

女の声を聞くとそういって、男の方が制服を脱ぎ始めた。 
男友は20代の大学生で、適当な感じの男。 

女「お疲れさまです」 

女友「んー、お疲れさまですー」 

女友は一つ違いの、高校3年。 
最近、そろそろバイトをやめようと悩んでいるらしい。 

女友「女ー」 

女「なんですか?」 

女友「こないださー、肉まん君の顔みちゃった!」 

女「え?」 

女は素顔を見たことがなかった。 
いつきても、フルフェイスヘルメットで顔を覆って、女の子が買い物をするのをただ、店の前でまつ。 

四月から毎日のように姿は見かけたが、一度も顔を見たことはない。

女友「いいっしょー」 

それが不思議と自分以外のバイト仲間はみんな見たことがあった。 

女「いや、よくはないですけど……」 

と、言うものの実は内心気になっていたりする。 

皆の話を総合すると。

眼鏡。 
物腰柔らか。 

女友「やっぱり、かっこいいよ」 

そして、イケメン。 

知らない人とはいえ、そう言われるとなんとなく気になるものだ。 

女「……」 

女友「うへへー」 

変な笑い声でニヤニヤ。 
どうみても、からかっている。 

女「……はぁ、やめてくださいね、先輩」 

いつも通り。 
一度だけ、先輩に好きな人の昔話をしたことがあった。 
それからというもの、男の人が話題に出るたびにからかってくる。のだ。

女友「あんな肉まん君より、例のお兄さんの方が気になる?」 

女「……着替えてくるんで、仕事してくださいね」 

少しばかり、むっとして冷たく返答し、制服のあるロッカーへと向かった。 
はーいと言う返事が聞こえる。

そして、続いて後ろからやる気のない 

「いらっしゃいませー」 

の声。


女(全く…もう) 

ここのコンビニバイトの人は皆、適当だ。 


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