騒動



執事が突然の死が訪れてから、すでに一週間が立っていた。 
活気が戻りつつあった町はまた、暗く沈んだ空気に包まれる。

王「……執事、私はどうすれば良いのだ?」 

問いかけても、答える人はいない。 
執事でありながらも、良き友人であった。 
自分より年上の執事は実に頼りがいのある人物。 

いなくなって、なお思う。 

兵士たちは執事がいなくなると、統率が取れなくなった。 
娘である姫も、気丈には振る舞うが明らかに落ち込んでいる。 

活気を取り戻しかけた町も、団長であった執事の死は町民にも大きなショックを与えた。 

今まで、何もかも執事に任せすぎていたのが浮き彫りになってしまった。 

王子の亡き後、兵士を統率させていたのは? 
姫を最も思いやっていたのは? 
町を必死に活気付けようとしたのは、誰だったのか。 

王「……私は何もできていなかったのだな。お前に何もかもを任せすぎていたようだ」 

この状況にどう対処すればいいかもわからない。 
執事の代わりなど現れることなど無いのだ。 

自分が全てを決めなければならない。

王「どうすればいいのだ…」 

悲痛な声が漏れる。 
王座に1人座る、いくら考えようととてつもない不安が募るばかりだった。

時間ばかりがすぎて、早一週間。 
何もできぬ王に、沈みゆく町。 

そんな状況をさらに陥れることが襲おうとしていた。 

兵士「王!」 

扉が突然、勢いよく開き焦った様子の兵士が中に入ってきた。 
悩む王にさらなる悩みを募らせる。 

兵士「か、かなりの数の町人が急に苦しみ出していまして、早急な対処が……!」

王「な、なんだと……!?」 

急な出来事に驚いた王は立ち上がりながら、声を発した。

兵士「王!早くせねば、人々が…!」 

指示を仰がれるものの、今まで兵士の統率はほとんど、執事に取られ畝ているようなもの。
兵士の言葉がさらに王を焦らせる。 

王「あ、ああ…。ならば、兵士各自で編隊を組み、重症の者から近くの診療所に運び込め」 

なんとか口について出た言葉を吐きだす。

兵士「はい!では、編隊を組ませすぐに行動に移します!」 

そう言うと兵士は扉を開け、急いで部屋から出て行った。 

そんな様子を見ながら一息つき、呟く。 

王「……お前なら、素早く明確な言葉が出ていたのだろうな」 

改めて、存在の大きさに気づかされる。


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